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MSがTikTok側との交渉表明 米事業、来月まで買収完了

 米マイクロソフトは2日、北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業などの買収に向けた交渉継続を確認した。同社によれば、ナデラ最高経営責任者(CEO)とトランプ大統領との間で協議が行われたという。交渉は「数週間のうちに」迅速に進み、9月15日までに完了する見通し。

 政権内で意見二分

 マイクロソフトはセキュリティーとプライバシー、デジタルセーフティー保護の強化に加え、全ての米国人の個人データを確実に米国に移転し、国外サーバーから削除すると約束した。公式ブログで「大統領の懸念に対処する重要性を十分に理解している」としたうえで、「完全なセキュリティー審査と米国に適切な経済的利益を提供するという条件の下でティックトック買収にコミットしている」と説明した。

 買収合意が成立すれば、マイクロソフトはティックトックの米国およびカナダ、ニュージーランド、オーストラリアでの事業を取得する見込みだ。他の米国の投資家に少数株式の取得を勧める可能性もある。

 ティックトックの処遇をめぐり、米政権内は意見が二分している。つまり、マイクロソフトのような米企業傘下での運用継続を望む主張と、中国発という理由で同アプリを完全に禁止し、米国内での活動を停止させたい主張だ。

 批判的な勢力は、親会社のバイトダンスが米国ユーザーのデータを中国政府と共有したり、米国や世界のユーザーに影響を及ぼすためにティックトックを利用している点を懸念している。米国で1億6500万人、世界中では20億人余りのユーザーが同アプリをダウンロードしている。

 ただ言論の自由の擁護者らは、親会社に関係なく、いかなる類のインターネットサービスを禁止する考えに対して異を唱える。米国で影響力を持つ人権団体「アメリカ自由人権協会」の監視・サイバーセキュリティー顧問、ジェニファー・グラニック氏は「数百万の米国民のコミュニケーションツールであるアプリの禁止は表現の自由に重大な悪影響を及ぼす。合法的に可能であっても1つのプラットフォームを停止することで、オンライン上の言論の自由を阻害し、不当な政府による監視の広範な問題解決には全く役に立たない」と強調する。

 ◆中国発イメージ払拭

 ティックトックは、親会社が中国拠点であることを根拠に利用者のデータを中国に提供したり、中国政府に恩恵を受けているといった批判を再三、退けてきた。6月には米ウォルト・ディズニーの元幹部、ケビン・メイヤー氏を初の米国人CEOに起用し、ワシントンで多数のロビイストをそろえた。また、米当局者を納得させるために、(中国国外への)新たなグローバル本社移転やそのほかの組織変更の検討を表明するなど、ここ数カ月間は中国の親会社と距離を置き、中国発のイメージ払拭に努めている。

 ティックトックの広報担当者は、「米利用者のデータは米国内に保管されており、従業員のアクセスは厳重に管理されている。当社は利用者のプライバシーと安全保護にコミットしている」と強調した。

 一方、マイクロソフトにとって、ティックトックの米国および他3国の事業買収が実現すれば、フェイスブックやグーグルが独占するソーシャルメディアとネット広告市場に一気に飛び込むことになる。マイクロソフトは消費者向けのソーシャルメディアアプリを持たず、若い利用者の注目を集めているのは家庭用ゲームの次世代機「Xbox」や人気オンラインゲーム「マインクラフト」ぐらいだ。(ブルームバーグ Linus Chua、Shelly Banjo)

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