遊技産業の視点 Weekly View

「喜怒哀楽」の共有

 ■パチンコを通じた「喜怒哀楽」の共有

 □ホールマーケティングコンサルタント LOGOS上級研究員・岸本正一

 「ステイホーム」「不要不急の外出自粛」「ソーシャルディスタンス」などの言葉に触れて筆者も以前よりは外出する回数が減ったように思う。同時にパソコンで動画投稿サイトを閲覧する時間が増え、せめて気分を和ませてくれるような動画を見ようとWEB上を捜しさまよっている。そんな時に出くわしたのがパチンコに関する動画投稿サイトだ。いままではあまりこれらに対して興味はなかったのだが、他人が遊んでいる様子やその感想を述べている動画投稿サイトになぜか面白さを感じてしまった。

 考えてみれば普段は一人で行くことがほとんどのパチンコは、そこで出くわした感動や興奮を他人に伝える術がない。「大当たり」してポーカーフェースで喜びを噛み締めるというのがパチンコだ。4人でラウンドするゴルフのように「ナイスショット」などと声を掛け合うことがない孤独な遊びだ。

 それゆえ、パチンコにおける他人の感動や興奮に接するというのは日頃のパチンコホールではほぼ経験できず、動画投稿サイトやSNSならではの経験ということになる。投稿されている動画を見ると、喜んだり興奮したり、あるいは悔しかったり腹の立つポイントが自分と同じであることが確認でき、共感を覚えると同時にその感情を表現する投稿者のコメントや表情に笑いを誘われる。これらはパチンコという遊びを通じて表現される「喜怒哀楽」であり、そのどれもが筆者にとってはほほ笑ましい。

 パチンコは一人でやるものだと思い続けてきたが、パチンコを通じた「喜怒哀楽」を分かち合うということの面白さが、いまの筆者にとっては新鮮だ。昔は芸能人が対決するようなパチンコ番組があり、それを見ていた時の感覚に近いものがあるのかもしれないが、当時からパチンコ機は随分進化した。演出が多彩になったことで楽しむポイントも増え、今や突っ込みどころ満載である。

 ひょっとすると今のパチンコは他人と感動を共有しながら遊ぶ方が楽しいのかもしれない。

【プロフィル】岸本正一

 きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。

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