講師のホンネ

夫婦の間で繰り広げられる「魔のゲーム」

 夫婦の間で繰り広げられる「魔のゲーム」があるそうです。それは、妻の一言で始まる終わりの見えないゲーム。別名「自分で考えなさいゲーム」。妻のしてほしいことを夫が自分で考えて行動し、妻を満足させるというものです。時間に制限はなく、ゲームの終了は妻のみぞ知るという夫にとっては地獄のようなゲームです。(上野恵利子)

 このゲームのルールは一つ、妻に答えを聞いてはいけないということです。どうしたら妻は満足するのか、何をすればいいのかを妻に尋ねても「自分で考えて」と一喝されるのがオチです。先日、相談に来たAさんも、この終わりの見えないゲームの脱出方法を教えてほしいと途方に暮れていました。

 ある日の夕食後、Aさんは2歳の息子とお風呂に入った後に、ビールを飲みながらリビングでテレビを見ていると、妻が怒り口調で「お風呂にいれただけでイクメンだなんて勘違いしないでよね」と、語気を強めます。「そんなこと思ってないよ。何かしてほしいことある」と聞くと、「そんなこと自分で考えなさいよ」という言葉が返ってきました。

 この言葉が出ると、魔のゲームの始まりです。それからのAさんはビールを早々に飲み干して、息子を寝かしつけたり、食器を洗ったりしました。しかし、妻の態度は変わらずピリピリした嫌な空気のまま時間が過ぎました。

 残念ながら、「自分で考えて」という言葉が妻の口から出たときには、もう何をしても手遅れです。その場は諦めて、後日リベンジしてくださいとしか言いようがありません。恐らく妻は、Aさんがお風呂から出た後、リビングでビールを一人で飲み始めたことを見て「これで俺の役目は終了」というふうに受け止め、夫だけずるいと感情が動いて魔のゲームを開始したと想像できます。

 例えば、お風呂に入った後の子供に服を着せる、洗った食器を食器棚に片付ける、ゴミを出した後はゴミ箱に新しいゴミ袋をセットするなど、日々、妻は夫が気づかない名もなき家事を延々と繰り返しています。こんな時は、「一緒にビール飲む」とか「いつも家のことしてくれてありがとう」など、日頃から妻の言動に関心を寄せ、共感していることを言葉に表せると地雷を踏みません。

【プロフィル】上野恵利子

 うえの・えりこ 1965年大阪生まれ。3人の子供を育てながら42歳で看護学校へ入学し資格を取得する。精神科の看護師として働きながら「日本アンガーマネジメント協会」アンガーマネジメントファシリテーターとしても活躍中。心匠セラピストとして心理カウンセリングを行うなど、心の元気を回復するサポートを行っている。

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