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造船を襲う三重苦…規制・コロナ・資金難で干上がる需要 (1/2ページ)

 新しい船の需要が干上がっている。環境規制にまつわる不透明さに加えて、新型コロナウイルス感染拡大により低迷する経済、さらに船主側の資金不足が重なり、新造船の発注は過去20年で最低に落ち込んでいる。

 国連の専門機関「国際海事機関(IMO)」が今年1月1日から船舶燃料の硫黄酸化物(SOx)規制を大幅に強化し、世界の造船業界ではかつてない規模の変革が起きている。船主は規制に適合する硫黄分を含まない割高な燃料の購入や、「スクラバー」と呼ばれる浄化装置の設置、新しい船舶の発注などを迫られている。

 「海運回復は来年初」

 英調査会社クラークソンズ・リサーチのマネージングディレクター、スティーブン・ゴードン氏は「IMOは新規制で、野心的ではあるが非常に重要な目標を掲げた。だが、IMOの方針についての詳細や、この先導入される可能性のある規制、また、これに即してどういった技術が採用されるのかが明確にされていない。船舶の購入は長期の投資であり、購入企業は購入した船舶が将来の情勢に合わないものとなるリスクを負っている」と指摘する。

 規制に関し先が見通せない中、新型コロナの影響で供給網や貿易の流れが混乱、状況は厳しさを増している。英調査会社IHSマークイットの商品分析と海洋貿易部門を率いるラフール・カプール氏は「ないに等しい需要が新型コロナの影響でさらに落ち込んだ。経済活動と供給網が打撃を受ける中、企業は利益率の維持で精一杯だ。船舶の新規発注の優先度合いは最も低い」という。

 コンテナ輸送の需要の伸びも新型コロナの影響で今年は縮小が予想される。デンマークのコンテナ海運世界最大手、APモラー・マースクは、輸送量が2019年の水準に戻るのは21年の初旬と予測。4~6月期に同社が発注した船舶は8隻にとどまり、所有船舶に対する発注済みの船舶の割合は9.4%となった。ゴードン氏によると、世界各社の発注済み船舶の割合は約8%で、造船の注文は過去20年で最低となった。

 資金繰りも船舶購入の障害になっている。イタリアを拠点とする海運仲介大手、バンチェロコスタの調査責任者、ラルフ・レシチニスキ氏は「海運業界では企業の大多数が09年から19年にかけて利益が低迷し、その影響で多くの船会社は現在も手元資金が厳しい状況だ。08年以降、債務不履行が多発したことから海運関連への融資を敬遠する銀行が多く、借り入れは難しい」という。

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