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職場縮小でオフィス事業が転機 IT利用、シェア型に活路

 活況だったオフィス市況が、新型コロナウイルス感染症の流行で暗転した。業績悪化や在宅勤務拡大の影響で、便利な立地の広いオフィスを求める企業の動きが鈍ったためだ。首都圏などでは今も次々と大型ビルが建設中で、空室率はさらに上がるとの見方が多い。東京五輪後も市場拡大が続くとのもくろみが外れた大手不動産各社は、ITの利用やシェアオフィスに活路を見いだし、戦略の練り直しを急ぐ。

 開発めじろ押し

 「新しい働き方に合わせ、11月までにオフィス規模を現状の約6割にする」。スマートフォン向けゲーム開発のコロプラは、8月の決算説明会でこう表明した。

 同社は東京都渋谷区にある大規模複合ビルの複数フロアに入居し、グループの従業員数は1500人を超える。コロナ流行後はビデオ通話システムといった在宅勤務の環境を整備し、多くの社員が自宅で働けるようにした。

 大企業でも動きが相次ぐ。パソナグループは、東京の本社機能を担う社員の3分の2に当たる1200人程度を兵庫県の淡路島へ移す計画だ。

 東京都心のオフィス空室率は企業の移転需要に支えられ徐々に低下し、今年2月に過去最低の1.49%となった。だが、3月からはコロナの影響で上昇を続ける。不動産業界関係者は「経済の先行き不透明感から、都内での移転の動きはほぼ止まった」と打ち明ける。

 オフィスビル総合研究所は「都心の空室率は今後1年で4.1%へ上昇し、2023年にかけて4%台で緩やかに上昇する」と予測する。

 だが、都心では今後も大規模開発がめじろ押しだ。森ビル(東京)は23年に港区で高さ330メートルと日本一の高さのビルを完成させ、27年度には三菱地所がそれを上回る390メートルのビルを東京駅前に建てる計画。関係者は「コロナの収束時期にもよるが、供給過剰になる恐れもある」と指摘する。

 各社が対応模索

 想定外だったコロナ禍に対し、業界も対応を模索している。「感染症に対しても安全に働くことのできる環境をつくる」と意気込むのは東急不動産の岡田正志社長。同社は東京湾岸に40階建ての大規模複合施設「東京ポートシティ竹芝」を14日に開業した。

 敷地内に設置した1300以上の人工知能(AI)搭載カメラやセンサーで人の動きを解析し、利用者へ混雑情報を提供。オフィスへのゲートは顔認証で通過でき、働くフロアにエレベーターが自動で止まるため、ボタンに接触せずに済む。

 各社はシェアオフィスの供給を増やす。家族がいるなどして在宅で働きづらい人の利用が見込まれ、職場で感染者が出た場合は代わりの拠点にもなる。

 野村不動産は27年度までにシェアオフィスを全国で150カ所まで増やし、三井不動産や三菱地所も拡大する。JR東日本は駅構内に設置するボックス型も含め、25年度までに全国1000カ所で展開する計画だ。

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