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自治体にペーパーレスの波 コロナ禍で取り組み必須に

 タブレット端末の利用やウェブ会議の導入などペーパーレス化を進める自治体が増えた。コスト削減や業務の効率化が当初の狙いだったが、今年に入って新型コロナウイルスの影響で職員にテレワークが浸透し、必須の取り組みになったと識者は指摘する。今後、根強い「紙文化」を払拭することが定着に向けた課題となりそうだ。

 「聞こえてる? お疲れさまです」。8月中旬、埼玉県庁知事室で、2台の大型モニターに映る職員に向かい、大野元裕知事が呼び掛けた。担当者に操作方法を教わり、興味深げにうなずく。知事室と各部署を映像で結ぶ初の打ち合わせはスムーズに終わり、表情に手応えがにじんだ。

 県では、情報通信技術(ICT)の活用に積極的な大野知事が昨年8月に就任し、知事室でのレクチャーが紙の説明資料からモニター表示に変わるなどペーパーレス化が加速。担当する改革推進課では今年4~7月、使用したコピー用紙が昨年同時期より約4万枚減った。「行政を効率化しつつ、より良いサービスを提供するのが目標だ」と大野知事は強調する。

 2018年、庁内決裁の電子化推進に着手した茨城県。今年8月、99.9%以上を達成し「どうしても書類が必要になるまれなケース以外、すべて電子決裁になった」と担当者は胸を張る。

 タブレット端末の配備も進め、現在ではほとんどの会議で紙の資料は使っていない。県議会でも昨年9月以降、大井川和彦知事らが端末の画面を指で操作し、答弁する姿が定着した。

 東京都は年度ごとの目標値を設定し、紙の削減に力を入れる。昨年度はペーパーレス会議の実施率67%、コピー用紙の使用量17%減となり、目標値をクリアした。

 自治体がペーパーレス化に乗り出す理由の一つが、時間や場所にとらわれない「新しい働き方」の推進だ。今年は、新型コロナの影響で職員のテレワークが増え、紙でのやりとりが減少。「結果的に、感染拡大がものすごく後押しした」と埼玉県の担当者は振り返る。

 ペーパーレス化に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの河合一憲さんは、役所の紙文化が自治体職員のテレワーク導入を妨げてきたと指摘。「コロナ対応で行政現場の意識は大きく変化しており、新しいスタイルが定着するのは間違いない」と分析している。

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