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「蚊帳」が健康・エコ志向で再注目 時代に合った作りで魅力発信

 厳しい暑さの夜、たまには冷房を切り、自然の風に当たりませんか-。近年、節電や健康意識の高まりで蚊帳が再注目されている。国内生産量でトップを誇る蚊帳メーカー「タナカ」(福井市)は、デザイン重視の商品や新型コロナウイルス感染対策にもなる屋外用などをそろえる。田中源美社長(78)は「時代に合った蚊帳作りで魅力を発信したい」と話す。

 虫の侵入を防ぐために壁や柱からつるす蚊帳は、夏の風物詩とも言える存在。同社によると、一時、需要が落ち込んでいたが、東日本大震災後に節電への関心が高まったことや、エアコンの風で体調不良を感じる人がいることから、近年見直されているという。

 タナカは1949年創業。当時は滋賀県や奈良県を中心に麻や綿製の蚊帳が主流で、同社も使用していたが、天然繊維は糸が太くて重い上、けば立ちやすいことから風通しが悪いという欠点があった。

 そこで同社は、福井県で生産が盛んな絹製品の織り方が合成繊維にも適していることに着目。58年ごろからナイロンやポリエステルを採用した。軽くて風通しがよく、洗濯も簡単な商品で特色を出した。

 ところが60年代に入ると農薬の広がりで蚊が減ったことや、網戸やエアコンの普及で需要が急減。田中社長は「人々の生活の変化に合わせなければ生き残れない」と考え、ファッション性や実用性を重視するように。70年に発売した食品にかぶせるカラフルな食卓用蚊帳が人気となり、同社によると蚊帳生産で全国シェア9割を占めるまでになった。

 今や主力商品となった食卓用蚊帳は、水玉や花柄など洋室に合うデザインも豊富で、家族で一緒に食事をとらない家庭が増える中「ラップいらずで便利」と好評だという。自立式の屋外用蚊帳(高さ約2.5メートル)はキャンプなどで使え、中でバーベキューも可能。密閉空間にならず、コロナ禍での「新しい生活様式」にも適応できる。

 「一年中使える商品で蚊帳の存在をアピールできれば」と田中社長。「今後もいろいろな形で蚊帳の文化を守り続けたい」と意気込んでいる。

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