金融

「菅カラー」の概算要求 経済の成長軌道復帰へ問われる力量 

 令和3年度予算の概算要求は一般会計の総額が105兆円規模に上り、デジタル化や新型コロナウイルス感染症への対応など、初の予算編成に臨む菅義偉(すが・よしひで)首相の看板政策を反映した施策が並んだ。コロナ対策で実施した2度の補正予算は倒産や失業を防ぐ危機対応が最優先だったのに比べ、3年度は経済を成長軌道に戻す新たな局面に移る。財源のメリハリをつけ効果的に対応できるか、実務型と評される菅政権の力量が早くも問われそうだ。

 厚生労働省は雇用継続が難しい企業から人手不足の企業に従業員を移す「在籍型出向」を支援する予算を要求した。休業中の人と企業を結びつける「雇用シェアリング」と呼ばれる対応だ。職を失った人が再就職に向け無料で職業技術を学べる事業も盛り込んだ。

 予算編成を通じて求められるのは、コロナと共存する「ウィズコロナ」を見据えた対応だ。政府は雇用維持のため助成金の利用条件緩和などで対応してきたが、コロナ関連の解雇や雇い止めはサービス業の非正規労働者を中心に25日時点で見込みを含め6万923人に上る。息が長い支援を続けるためにも助成金に頼らない対応が課題となる。

 家計や企業の“痛み止め”に重点を置く今年度の緊急対策が長期化すれば、IT産業など今後成長が見込まれる分野への労働力の移動が阻害され、将来的には成長を下押しする。政府はコロナ後の経済再生を念頭に、中長期的な視野に立った予算編成が求められる。

 一方、コロナ禍を踏まえた要望は他省庁でも目立ち、国土交通省は観光業界や地域公共交通機関の支援、文部科学省は学校の3密(密閉、密集、密接)回避に向けた少人数学級化など、金額を示さない事項要求が相次いだ。編成過程で大胆な上積みを目指す。

 ただ、麻生太郎財務相は3年度予算について「経済再生と財政健全化の両立を目指す」と指摘。財務省は予算査定を通じて無駄を排除し、中身を重点化する構えだ。コロナ禍にかこつけ以前から検討していた事業の実現を図る動きを警戒しており、各省庁とのせめぎ合いが今後本格化する。(田辺裕晶)

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