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ドコモTOB、菅政権の値下げ圧力も一因 携帯各社は対応模索

 NTTによるNTTドコモの完全子会社化は、携帯電話料金の引き下げを看板政策に掲げる菅義偉政権の圧力も一因になった。携帯電話大手は値下げを強く求められる一方で、政府が掲げるデジタル化の基盤整備で膨大な投資費用も捻出しなければならない。相反する課題に対応する新たな戦略が求められている。

 「結果的に値下げの余力が出てくる」。NTTの澤田純社長は29日の会見でグループ再編と携帯料金値下げの関係をこう語った。菅首相から強い値下げ圧力がかかる一方、国内市場では契約数の伸びが鈍化し、携帯の収益は先細りになる懸念がある。新たな収益源の創出が急務で、ドコモにとって決済サービス事業がその一つだったが、「ドコモ口座」の不正利用問題で急ブレーキがかかった。

 一方、3月に商用サービスが始まった第5世代(5G)移動通信システムでは米国や中国など海外勢より出遅れており、巻き返しが急がれる。ドコモでは2023年までに通信網整備などで1兆円もの投資が必要だ。「6G」では国として先行して開発したい考えで、ドコモに求められる役割も大きくなっている。

 こうした中、政府の要請とはいえ、経営体力を一段とそがれる携帯料金の引き下げは簡単ではなく、株主から不満が出ることも予想された。完全子会社化で非上場企業になれば、収益悪化につながる値下げに踏み切りやすくなる。

 競合の動きも慌ただしくなりそうだ。KDDIの高橋誠社長は先週、「国際的に遜色ない料金を求められている」と値下げを検討する方針を示した。同社は金融サービスを中心に非通信分野を強化して顧客を囲い込む戦略を推進中だが、携帯事業の収益低下を見据え、さらに戦略を加速するとみられる。

 一方、ソフトバンクの親会社のソフトバンクグループ(SBG)はNTTとは対照的だ。投資先企業の子会社化にはこだわらず、AI(人工知能)関連の有望企業に一定規模出資して、出資先同士の連携で相乗効果を生んで成長を狙う「群戦略」を掲げる。ソフトバンクもこの戦略の下、SBGの出資先の技術やノウハウを取り入れながら、非通信分野での新規事業進出を進めている。(万福博之)

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