主張

NTT再編 値下げだけでない成果を

 NTTが約4・3兆円を投じて子会社のNTTドコモにTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化することを決めた。ドコモは上場廃止となる。

 グループの意思決定を速め、経営効率を高めるのが狙いだ。NTTは今回の経営判断を携帯電話料金の着実な引き下げにつなげねばならない。世界の通信市場の競争激化に対応し、第5世代(5G)移動通信システムの開発や普及などに努めていくことも欠かせない。

 ドコモはライバルのKDDI(au)とソフトバンクに契約者を奪われ、本業の儲(もう)けを示す営業利益が両社に抜かれるなど苦境にある。今後は利用者の視点に立ち、柔軟な経営戦略を打ち出してほしい。

 NTTグループでは東西会社が固定電話、ドコモは携帯電話とすみ分けしてきた。ドコモを完全子会社化することで、グループ戦略を強化する。固定電話と携帯電話を組み合わせた新たな情報通信サービスなどが期待できよう。海外に比べて遅れている5Gの普及を促すためにも、多様なサービスが求められる。

 国内企業へのTOBとしては過去最大となるだけに成果が問われる。菅義偉政権は携帯電話料金の大幅な引き下げを掲げている。ドコモは従来手掛けてこなかった格安スマートフォンに進出する好機と考えるべきだ。家計を助ける値下げを実現してもらいたい。

 料金引き下げの原資を生み出すためには、NTTの国際競争力を高める必要がある。現在も国が約3割出資する同社には、NTT法で事業活動に制限がかかっている。政府はこうした制限の見直しを検討すべきだ。

 一方で携帯電話料金の引き下げには、健全な競争環境の確保も不可欠だ。NTTが保有する回線は他の格安スマホ会社も利用しており、NTTがグループ会社だけを優遇すれば、料金の値下げ競争は起きにくくなる。政府は競争環境を監視する必要がある。

 親会社と子会社がともに株式を上場する「親子上場」の問題も浮き彫りになった。親会社に実質的な経営権が握られている上場子会社の場合、少数株主の利益が守られにくいなど企業統治に構造的な欠陥を抱えがちだ。欧米では親子上場を厳しく規制しており、日本でも早急な解消を進めたい。

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