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2秒に1台売れる「ミニカー」 トミカ50周年、伝わる作り手の本気

 タカラトミーが販売するミニカー「トミカ」が、誕生から50年を迎えた。これまでの売り上げ台数は累計6億7千万以上にのぼり、2秒に1台近く売れている計算になる。そのトミカの世界を満喫できる「トミカ博」が現在、ひらかたパーク(大阪府枚(ひら)方(かた)市)で開かれている。新型コロナウイルスの影響でこの春のトミカ博は中止となったが、ようやく開催が実現し、待ちかねた大勢の親子が訪れている。昔も今も子供たちをとりこにするトミカ。変わらぬ人気の裏側には、発売以来変わらない、品質と安全性への信念があった。(北村博子)

 実車両も展示

 「家ではこんなに大規模に飾ってあげられないのでいい機会だと思って」

 トミカ博に箕面市から家族で訪れた飯田沙保里さん(35)は、ベビーカーの上ではしゃぐ息子に、目を細めながらこう話した。

 会場では、さまざまなトミカを配置した巨大ジオラマや、トミカが一斉に飛び出すサーキットスライダーが置かれ、子供たちは夢中になって見入っていた。

 一画には50周年を記念した実車両展示もある。ホンダ「シビック」やトヨタ「スープラ」、日産自動車「GT-R」。各メーカーのデザイナーがトミカのために考えたデザインで、3社並べての展示は初めて。子供よりもお父さんが夢中になれるコーナーだ。

 入場制限などによって感染対策も万全。タカラトミーの企画担当者は「入場ゲートの建物もサーキットスライダーも、中がのぞける特大ロンドンバスも全部、トミカのおもちゃやミニカーで作られている。トミカの世界に入り込んで楽しめるのがトミカ博なんです」と説明する。

 国産モデルで

 ミニカーは、国内では昭和30年代にすでに流通していたが、ヨーロッパ発祥の玩具のため、当時は外車モデルばかりだったという。日本でも自動車産業が発展する中、タカラトミーの2代目、富山允(まさ)就(なり)社長が「国産のミニカーをつくりたい」と考え、45年にトミカが誕生した。

 最初は「ブルーバード」「マークII」「パトカー」など6車種からスタート。180円(現在は450円)という手頃さもあってすぐに人気に火がついた。

 車種について、トミカマーケティング課の安(あん)栄治さんは「基本的には街中を走る車をモデルにしているため、時代の流行も反映されています」と解説する。平成12年からは毎月2種類を販売。現在では1050種以上に増えた。

 販売まで1年

 製作には車メーカーの協力も欠かせない。新作を作る際には、対象のデータを毎回車メーカーから取り寄せているからだ。そしてトミカが定める子供の手のひらサイズ、横幅(78ミリ)の箱に納まるよう縮尺する。

 安さんは「危ない箇所はデフォルメしますが基本的な形は変えません」といいバランスを微調整して実車に近づけていくという。

 「3Dデータでもわからない掘り込み具合などは実車で確認したり、写真を何枚も撮ったりして研究します。昔は何百枚もの写真を参考にしたようです」

 納得がいくまで何度も型を起こしてサンプルを作り、車メーカーとやり取りを重ねる。1台が製品化されるまでに9カ月~1年かかるという。ロゴなども忠実に、車体の色も玩具用の塗料を調合し、実車と同じ方法で塗装している。

 安全性の追求もおこたらない。トミカの主な材質は亜鉛合金だが、例えばレーシングカーの飛び出たウイングなどは曲がる素材を使い、手で握っても刺さらないように工夫する。サイドミラーを省くのは、突起物でケガをしないようにとの配慮からだ。

 ただ、安全性のために角を取ってコロンと丸みを帯びた形に仕上げているのに、なぜか車種がわかるのは、やはり作り手の「本気度」、細部の再現の忠実さが理由だ。安さんは「走る車を見て子供が『僕あれ持ってる!スカイラインだ!』なんて具体的な名前が出るときが一番うれしい瞬間です」と語る。妥協のないものづくりを推し進めながら、トミカはこれから先も、子供たちの夢を乗せて走り続ける。

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