自動車

自動車業界はまもなく沈没する トヨタが生き残るための唯一の方法 (3/3ページ)

トヨタはそろそろ「DD」から「CC」へ

 さて、これらの可能性が目の前にあるとしてトヨタ、日産、ホンダといった既存の自動車メーカーはどうすべきなのでしょうか。

 私は先ほど挙げた3つの領域から、どれか1つに絞り込む時期がきていると思います。

 これまで自動車業界では、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をあわせた「CASE」と呼ばれる新しい領域を総花的に語られてきました。

 日本の自動車メーカーは、自動運転や電動化という領域で、世界の最先端ではないにしろ辛うじてトップグループに追いついていたような状況でした。しかし、ここから時価総額の高いグーグル(ウェイモ)やアリババが次の領域へスパートをかけると、引き離される局面に来ています。

 自動車危機の最大の問題点は、新たな異業種競合であるグローバルIT企業が50兆円から150兆円というトヨタの数倍の資本規模をもち、かつ「CASE」の中のコネクテッドの領域で圧倒的な経験量を持っているという点なのです。

 そして実は、2つ目のプラットフォームと3つ目のソリューションの領域は自動車業界のビジネス文化には合わないという欠点があります。トヨタにフェイスブックやIBMみたいになれといっても難しい。そのような自動車会社から見て遠い領域なのです。

 一方で、1つ目の電力インフラのドメインは比較的製造業のビジネス文化とは親和性が高い事業ドメインだと私は思います。

 そう考えると、そろそろトヨタはコーポレートメッセージを2010年代のDD(Drive your dreams)から2020年代に向けたC&C(Car and Clean energy)に変える時期に来ているのではないでしょうか。

 「CASE」という業界全体の未来を語りながら「モビリティ」というあいまいな未来を語るのではなく、具体的なひとつの未来を選ぶべきタイミングです。それなのにいつまでたっても選ばないというのが、トヨタ危機の本質ではないでしょうか。(経営コンサルタント 鈴木 貴博)

 鈴木 貴博(すずき・たかひろ)

 経営コンサルタント

 1962年生まれ、愛知県出身。東京大卒。ボストン コンサルティング グループなどを経て、2003年に百年コンサルティングを創業。著書に『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』など。

(PRESIDENT Online)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus