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日本の小売業、中国向け越境ECに活路 戦略の軸足移す

 新型コロナウイルスの影響で訪日外国人向けの需要がほぼ消滅する中、日本の小売業者が中国向けの越境EC(電子商取引)を相次いで強化している。現地の消費者の間で日本製品へのニーズは根強く、各社は戦略の軸足をインターネット販売に移すことで活路を見いだそうとしている。

 近鉄百貨店は新型コロナの流行以降、店舗での訪日客向けの免税売上高が激減した一方、越境EC事業の売り上げが急拡大した。同社広報は「昨年から手応えを感じ始めていたが、新型コロナが追い風になって一気に伸び始めた」と説明。特に化粧品やベビー用品が人気で、今年の同事業の売上高は前年の約7倍の50億円に達すると見込む。

 創業100年を超える靴ケア用品メーカーのコロンブス(東京)は日本貿易振興機構(ジェトロ)と連携し、2月にネット上で影響力を持つ「インフルエンサー」を使ったライブ販売を実施。2日間で靴の手入れセット約2000点を売り上げた。担当者は「予想以上の反響があった」とし、今後も品ぞろえを拡充していく方針だ。

 訪日外国人は入国規制によって4月以降、前年同月比99%以上の減少が続く。中国で10月1日に始まった国慶節(建国記念日)の大型連休中も、例年は日本各地が大勢の訪日客でにぎわうが、今年はほとんど姿がなかった。一方、新型コロナをいち早く封じ込めた中国国内では個人消費が急回復しており、8月の小売売上高は前年同月比でプラスに転じた。

 こうした中、中国のネット通販大手アリババグループのECサイト「考拉海購(Kaola)」には、ドラッグストア大手マツモトキヨシホールディングスなどの日本企業が新規に出店。考拉の広報担当者は「日本は最も人気の旅行先だっただけに、若い中間層の間で日本製品は非常によく売れている」と説明する。

 ただ、各社とも訪日客の落ち込みを埋めるほどの売り上げ規模には育っていない。ある業界関係者は「越境ECで成功している企業は一握りだ。決して甘い世界ではない」と指摘した。

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