金融

堂島商取改革、総合取引所への道筋不透明 コメ先物本上場は足踏み

 コメ先物を扱う大阪堂島商品取引所の在り方を議論している経営改革協議会が今月、先物だけでなくさまざまな商品を扱う総合取引所への脱皮を目指すよう提言した。背景には第2の「日本取引所グループ(JPX)」を育て大阪を国際金融センターにしたいSBIホールディングスの思惑が透ける。ただ試金石となるコメ先物の本上場は生産者団体の理解が得られず足踏みが続いており、改革の行方は視界不良だ。

 影響力あるJAは静観

 「農家やわれわれにとってメリットがあるのか、今後の状況を注視したい」(全国農業協同組合中央会=JA全中=の担当者)。JA全中を頂点とするJAグループはコメ先物について、投機的なマネーゲームになるのを嫌い静観の構えを崩していない。しかし一部では積極的に活用する動きも出始めている。

 新潟県でコシヒカリを扱う「木津みずほ生産組合」は年約100トンの出荷量のうち約6トンを先物市場で売っている。坪谷利之代表は「在庫の調整に活用している。国内の米食需要が頭打ちなので将来的にも有用だ」と評価するが「小規模な生産者はまとまった数量を確保できないことに加え、あらかじめ業者に預ける証拠金も取引量の伸び悩みにつながっているのではないか」と指摘する。

 現状ではコメの価格形成にはJAの影響力が大きく「JAは価格決定への影響力を失いたくないだけ。JAが生産者を束ね、先物取引を積極的に活用すべきだ」(先物取引関係者)との声も徐々に上がりつつある。

 背後にSBIの思惑

 株式会社へ移行する堂島商取へ15%をめどに出資する意向を示し、取引所の改革を進めようとしているのがSBIだ。北尾吉孝社長は「大阪や兵庫を中心とした国際金融センター構想を何とか進めたい」と強調。末松広行前農林水産事務次官を顧問に迎え、コメ先物の本上場を目指す関係者からは実現に向けた期待の声が上がる。

 SBIは、大阪府や兵庫県に国際金融センターをつくる構想を、自治体や政府と連携して推進する方針も打ち出しており、この構想の一環として堂島商取を総合取引所に変え、グローバル化させようとの思惑もある。商品先物業界に詳しいアナリストは「日本でコメ先物を扱っているのは堂島商取だけで、JPXにはない商品があるのは強みだ」と評価。ただ圧倒的存在感のJPXが堂島商取を意識することはほとんどないのが現状だ。

 りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「先物取引だけで投資家を集めるのは限界がある。総合取引所を目指すことは現実的な選択だ」と語る。先物発祥の地として知られる堂島の歴史やネームバリューを生かしつつ、国際的に通用する総合取引所に生まれ変わることできるかどうか、新経営陣の手腕が試される。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus