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間伐材由来の「木糸」マスクに抗菌性 訪日客減にもめげない中小企業の発想力 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの影響で、3密を避けるなどの「新しい生活様式」が生まれた。人々の行動が少しずつ変わる中で、大阪の中小企業、ものづくり企業の中には手掛けてきたビジネスモデルの転換を余儀なくされたところもある。ただ、アイデア勝負でユニークな商売を生み出すことに定評があるのが大阪のものづくり。コロナ禍でも、大企業とは一線を画した隙間需要、いわゆるニッチなニーズを捉えようと、新商品の提案を始めている。(西川博明)

マスクで「癒し」を

 一時的に品不足になり、感染防止グッズとして新しい生活様式の日常に欠かせなくなったマスクは今、素材や柄、形などユニークな商品が続々登場している。大手企業の間でもシャープやミズノなど異業種からの参入が目立ったが、お弁当などに入っている小さなアルミ箔製のカップが主力製品の木村アルミ箔(大阪市生野区)が新たに商品化したのが、間伐材からできた糸を使う「木糸(もくいと)マスク」(税込み1600円)だ。

 「もともと木糸を何か製品化できないかと検討してきた」と語るのは、同社の山路浩志・執行役員開発部長。国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の一つ「陸の豊かさも守ろう」という考えを実践しようと試行錯誤する中で、マスクへの活用を決めた。昭和5年創業の同社がマスクを製造するのは、もちろん初めての挑戦になる。木材由来の素材でできたマスクは地球環境に配慮し、抗菌性も期待できるのが売り。「木の香りが癒しにもなる」とアピールする。

巣ごもり消費を狙い

 外出自粛ムードが長引き、自宅での過ごし方も大きく変わった。お弁当箱などのプラスチック製日用品を製造するオーエスケー(大阪市東住吉区)は、自宅で食事を楽しむためのアイテムを提案する。

 さまざまな大きさ、色合いの扇形の皿を、円形の皿の上にのせて円形グラフのようなレイアウトを楽しめる食器「%PLATE(パーセントプレート)」(2~3枚入り税別500円~)を新たに製品化した。

 企画室の浅野剛次長は「外食を控え、家庭での食事が増える中で、食卓に新たな彩りを提供する機会になれば」と話す。

 新型コロナの流行で、役所の窓口や小売店のレジ、飲食店のテーブルなどで当たり前になったのが、ビニールカーテンやパーテーションなどの透明な間仕切り。会話のやりとりで飛び交う飛沫(ひまつ)感染を防ぐのが目的だが、そんな新しい日常の光景にユニークな発想で商機を探る企業もある。

 干支の置物や箸置きといったガラス細工を製造・販売を手掛けるプリーズ(大阪市中央区)はジェル素材「スーパーハード」(400グラム入り1250円)の事業を9月から新たにスタートした。アルファベットの文字などに加工し、透明な間仕切りに張り付ければ、メッセージボードに変えられる。下川修世(のぶよ)社長は「新型コロナで気分が落ち込む中で、無機質な雰囲気を明るく変えることができるのではないか」と話す。

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