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星野リゾート マイクロツーリズムは重要な市場

 星野リゾート代表 星野佳路さん(60)

 --新型コロナウイルス感染が流行し始めた当初からマイクロツーリズムを提唱した。国内旅行で定着したか

 「各観光地が周りの県境を越えた近場を商圏とする。当社発祥の地、長野県の軽井沢の場合、群馬県の高崎や前橋は大事なマイクロツーリズム商圏だ。新型コロナ感染は第1波、第2波、もしかしたら第3波、第4波と続くかもしれない。そのときに最も安定して集客できる市場はこのマイクロツーリズム商圏だ。コロナ禍が収束しない限り外国人訪日客は戻ってこない。私たち観光事業者を守るために非常に重要なマーケットであると思い始めている」

 --マイクロツーリズム戦略を取り入れ、宿泊施設の営業状況はどう変わったか

 「ここまでの所感だが、国内外で41の宿泊施設を運営しており、そのうち3分の2の施設で昨年と同水準の稼働率に戻している。逆に3分の1がまだいろいろな対策を必要としている」

 --3分の1はどういう特徴のある施設か

 「予約数を戻しにくかったところは都市型旅行という特徴がある。都市に行く観光客は、行き先にイベントや展示会、野球などのスポーツ観戦のような目的があり、参加するために都市に泊まる。中々自社だけでは都市にあるホテルの稼働率を戻すのは難しいところがあった。離島のように周辺にマイクロツーリズム市場が存在していないところも中々難しい状況だと思う」

 --政府の「Go To トラベル」事業の効果は

 「宿泊代などの補助率35%が良かったかどうかは検証の対象だと思うが、事業にプラスの影響はあった。重要なことはトラベル事業が終了した後、どうしたら平時の需要を獲得できるかについて、そろそろ考え始めなければいけないということだ」

【プロフィル】星野佳路

 ほしの・よしはる 慶応大卒。米コーネル大ホテル経営大学院修士課程修了。1991年、星野温泉(現星野リゾート)社長に就任。国内外40カ所以上でリゾートホテルや旅館運営を手掛ける。2015年10月から星野リゾート代表。長野県出身。

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