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米司法省のグーグル提訴、デジタルの独占問題にメス 違法性証明は困難か

 【ワシントン=塩原永久】米司法省が米グーグルを独占禁止法(反トラスト法)違反で訴え、デジタル時代の独占問題にメスを入れた。同社が市場支配を通じて競争相手を排除し、消費者の不利益になっていると判断したためだ。グーグルなど「GAFA」と呼ばれる米IT大手4社への規制強化は米国で超党派の潮流となっており、訴訟は巨大デジタル企業の転換点を告げるものとなりそうだ。

 司法省は自由競争を推進する「伝家の宝刀」とされる反トラスト法訴訟に踏み切ったが、違法性を証明するハードルは高いとみる法律専門家は少なくない。

 同法の運用では従来、巨大企業が市場を独占した結果、消費者に不利益が及ぶ「値上がり」が起きたことを問題視してきた。ところが、グーグルは検索サービスを無償で提供している。従来型とは異質のデジタル経済をめぐり、反トラスト法違反を問うのは容易ではないと指摘されてきた。

 それだけに、司法省が提訴に踏み切ったのは大きな決断だ。同省のローゼン副長官は20日、「排他的な取引慣行によって独占的な力を維持してきた」とグーグルを批判。デジタル時代の市場独占の問題を訴訟で問う姿勢を示した。

 グーグルはこれに対し、「利用者は強制されたからではなく、みずからグーグルを使用している」と反論するコメントを発表。利用者の不利益は生じていないとの立場を示したものとみられ、「司法省の提訴には重大な欠陥がある」と徹底抗戦の構えだ。

 米政界では、伝統的に大企業に厳しい姿勢の民主党がGAFAに矛先を向け、共和党も積極的な規制強化にかじを切った。司法省の対グーグル訴訟は長期化する公算が大きいが、世論の後押しを受けた同省は「すべての選択肢が残されている」(幹部)としており、かつて石油大手などに迫った企業分割も排除せず、グーグルに是正措置を求める可能性を示唆した。

 1990年代後半の米マイクロソフトに対する反トラスト法訴訟は最終決着まで約6年を要した。同社は訴訟対応に経営資源をそがれ、その間、GAFAなどの新興勢力が競争力をつける条件が整ったとも指摘される。デジタル時代の巨大IT企業は、収集した大量のデータを広告収入などに結び付け、一段と競争力を高める「規模の経済」が働きやすい。米当局の訴訟の行方は、日本を含む世界の競争政策にも影響を及ぼす可能性がある。

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