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5G対応も目新しさ乏しいiPhone12 試されるブランド

 米アップルは「アイフォーン(iPhone)」の最新モデル「12」シリーズの4機種すべてを第5世代(5G)移動通信システムに対応させた。中でも、低価格の中国製スマホへの対抗策として来月発売される小型機種「12ミニ」は小型化を求めてきた日本の愛好家には魅力的だ。ただ、ここ数年はカメラなどの性能向上が中心で、市場を一変させるような革新性を打ち出せていない。今回の国内モデルは5Gをフル活用した超高速通信には対応していないなどの弱点もあり、売れ行きはブランドへの求心力頼みになりそうだ。

 「毎年この季節が待ち遠しい。今年のモデルは思った以上にかっこいい」

 23日午前8時、東京都渋谷区の「アップル表参道」には、事前に予約した愛好家が続々と集まり、新機種を手にした。一方で「5Gサービスはまだ時間がかかるだろうな」という声も聞かれた。

 コロナ禍で人が密集するイベントが自粛されているとはいえ、携帯大手3社では、KDDI(au)がオンラインでカウントダウンイベントを開いたのみ。例年にくらべ、盛り上がりの欠けるスタートとなった。

 アイフォーンは2007年に初期型を発売。アップルの共同創業者の故スティーブ・ジョブス氏が「電話を再発明する」と宣言した通り、タッチパネルでの斬新な操作とこだわり抜いたデザインで世界中の消費者を虜にした。

 しかし5G対応では、韓国サムスン電子が1年以上先行、折り畳み型などの挑戦的な端末の開発を続けている。中国メーカーも4万円以下の5G端末を発売するなど、市場での存在感を増している。一時は約7割力と圧倒的シェアだった日本市場でも、近年はシェア5割弱と牙城が崩されつつある。

 今回、アップルは主力モデルが10万円前後で高止まりする中、7万円程度の小型モデルをラインナップに加えた。戦略の転換は“スマホの再発明”に行き詰まった裏返しでもある。

 国内の新機種は2種類ある5Gの周波数帯のうち、より高速な帯域には対応しておらず、数年先の本格的な5Gサービスをすべて楽しめるかは未知数。ブランド力でシェアを維持してきたアイフォーンが普及で苦戦する5Gの水先案内人になれるか、アップルの真価が試される。

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