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長野・山間部の養殖業者が押しずしで需要喚起 飲食店向け出荷急減で

 海のない長野県の山間部で養殖魚をネタに使った押しずしを新たな名物として売り出す動きが進んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店向けの出荷が減り、苦境に立つ養殖業者が、卵の塩漬けがキャビアとして知られる高級魚チョウザメなどを具材にした「信濃おしずし」を開発。コロナ禍の逆風下、社運を懸けた新商品は起死回生のヒット作となるか。

 名物づくりに取り組んでいるのは、長野県の山あいにある長和町の養殖業者「ドリームウィングス」。観光客でにぎわう同県軽井沢町のホテルやレストランなどに向け、地元に湧き出る名水を使ってチョウザメを養殖してきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出ていた5月には需要が激減した。

 事業継続のために着目したのは、以前から構想を温めてきた長野発の名物ずしの開発だった。チョウザメに加え、県水産試験場がニジマスと欧州のマスをかけ合わせて開発した「信州サーモン」の2種の切り身をシャリの上に交互に並べて押しずしに仕立てた。富山のますずしのようなご当地名物にすることを目標に、長野色を前面に打ち出した「信濃おしずし」と名付けた。

 臭みのない上品なうま味が特徴のチョウザメと、とろけるような舌触りの信州サーモンがシャリと調和した逸品だ。

 9月初旬から地元の道の駅などで少量限定で販売を開始。1食1200円と強気の価格設定にもかかわらず、すしに憧れてやまない海なし県民の心をくすぐったのか、地元住民を中心に人気に火が付き、同月中に300食以上を売った。

 東久保貴之社長(47)は県外にも売り込もうと、生産量を3倍に増やし、10月中旬から本格的に通信販売を始める。東久保社長は「海なし県にも海の魚に負けない魚があることを知ってもらいたい」と胸を張る。

 地元の長和町も町ぐるみでPRして後押しする方針で、羽田健一郎町長は「自慢のネタを使った新商品が広く愛されるように売り込んでいきたい」と意欲をたぎらせている。

 問い合わせは同社電話0268・71・6488か、同社屋号「信州ちょうざめ家」のフェイスブックで。

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