現場の風

伊藤忠商事 日々の当たり前を支える意識徹底

 伊藤忠商事専務・小林文彦さんに聞く

 --新型コロナウイルス感染拡大で、働き方も大きく変わった

 「コロナ感染が始まった今年2月からはえたいが知れない状況を経験した。4月からの緊急事態宣言が出ている期間は、人命や健康を最優先させるため、完全に在宅勤務やテレワークを指示していたが、宣言解除以降は段階的に出社比率を増やしてきた」

 --総合商社の多くはまだ在宅勤務比率が高いようだ

 「伊藤忠のキャラクターとの違いがある。重厚長大産業の比率が高い他社に比べ、当社は消費・生活関連分野が圧倒的だ。営業担当社員の比率でも60%がこの分野だ。ファミリーマート、伊藤忠ロジスティクス(物流事業)、ほけんの窓口グループ(保険代理店事業)など、国民生活の基盤事業を担う子会社・グループ会社も多く、生活インフラを支える分野を基幹事業としている。おいそれと現場を離れられないし、日々の当たり前を支える会社である必要がある。そういった意味で伊藤忠の社員は『エッセンシャルワーカー』という位置付けを明確にして取り組む」

 --感染防止との両立が課題になる

 「最も重要なのは社員の安全や生命だ。もともと早朝勤務や午後3時の退社など、通勤ラッシュの混雑を避けるようなことや、テレワークも、以前は比率が少ないながらも取り組んできた。感染拡大後は、食堂や会議室などではアクリル板の設置などで密にならないことや、こまめな消毒を徹底し、本社館内でのコロナ発生は一例もない。同時に臨機応変に対応できる働き方が可能になっている。感染が再び急拡大し、政府や東京都が緊急事態宣言を出したら、翌日から全面在宅勤務に切り替えることもできる。感染状況に応じて出社率を変えていくこともできるレジリエントな働き方になっている」

【プロフィル】小林文彦 こばやし・ふみひこ 東京外国語大外国語学部卒。1980年4月伊藤忠商事入社。人事部人材戦略室長、執行役員などを経て、2017年4月から取締役専務執行役員。人事などの最高責任者であるCAOを兼務。

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