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「厄介者」CO2を原料や燃料に 資源化へ開発加速

 地球温暖化の元凶として厄介者扱いされている二酸化炭素(CO2)を原料や燃料として再利用する取り組みが加速している。今年に入り、素材メーカーなどが相次ぎ新技術の開発に着手。競合企業同士や異業種間での連携も進む。CO2を資源化できれば、地球温暖化対策として排出削減に匹敵する効果が得られる。日本を含む世界各国が脱炭素社会の構築を急ぐ中、CO2再利用は新たな有望分野に育つと期待される。

 日本製鉄は7月、千代田化工建設などとCO2からパラキシレンを作り出す技術の開発に着手した。パラキシレンは衣料用繊維やペットボトルの原料で、CO2からの製造は例がないという。生産方法や量産技術の確立に取り組むほか、経済性も見極める考えだ。

 日鉄は他にも、JFEスチールや商船三井などとCO2からメタンを製造し、船舶用燃料として利用する方法も研究している。

 メタンの製造にはIHIも取り組む。今年度中に福島県の施設で、横浜市にある現行設備の10倍の生産能力をもつ実証設備を完成させる計画で、IHIは「早ければ5年後に実用化したい」と意気込む。

 一方、燃料や化学品と並ぶCO2の用途として期待されるのが道路ブロックなどのコンクリートだ。JFEスチールや太平洋セメントなどは4月、CO2とカルシウムなどの金属を反応させ、コンクリート原料の炭酸塩を作る技術の研究に乗り出した。JFEは鉄鋼生産の過程で生じる副産物から、太平洋セメントは廃コンクリートから、カルシウムやマグネシウムを取り出す技術を開発。炭酸塩の製造技術も並行して研究する。同様の研究は宇部興産や出光興産なども手掛ける。

 CO2の資源化は「カーボンリサイクル」とも呼ばれる。政府は昨年、課題や目標を明確にし、イノベーションを促す狙いで技術開発のロードマップを策定。10月には米政府と覚書を交わし、技術情報の共有を図ることで合意した。

 カーボンリサイクル実用化の一番のネックは製造コストの高さで、技術開発プロジェクトの大半は実証実験段階にとどまる。今後は脱炭素化の進展とともに国際的な開発競争が激しくなるのは確実で、石油化学工業協会の和賀昌之会長(三菱ケミカル社長)は「オールジャパンで長期的、継続的に取り組んでいくことが大切」と訴える。

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