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キリン豪州子会社事業売却 中国リスク浮き彫り 日本企業の事業揺るがす

 オーストラリアと中国の関係悪化を背景にしてキリンが豪州子会社の飲料事業の売却先変更を迫られたことは、新型コロナウイルスや香港情勢で問題を抱える中国とのビジネスの難しさを改めて浮き彫りにした。中国は米国との対立も続いており、今後も中国リスクが日本企業の事業戦略を揺るがす可能性がある。

 今回の事業売却についてキリンHDは、「新型コロナなど難しい環境下でも適正な価格の範囲内で売却でき、ポジティブにとらえている」としている。しかし昨年に中国企業への売却が決まった際に日本円で約456億円だった売却額は、今回の豪州企業への売却では約409億円に目減りしており、キリンHDは好機を逃したともいえる。

 豪州と中国の対立は今年4月、豪州が新型コロナウイルスの発生源や感染拡大をめぐり独立調査の必要性を主張したことが端緒だ。中国は5月に豪州産食肉輸入の一部停止などに踏み切り、7月に豪州が国内の香港市民が永住権を申請できるようにするなど、対立がエスカレートしている。

 ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎上席研究員は「豪州は安全保障面では米国に近く、経済貿易面では中国に依存するという点で、日本と立場が似ている」と指摘。米中間の対立を踏まえれば、「今後も米中間で問題になっている人工知能(AI)やバイオといった機微技術にとどまらず、幅広い分野に影響が出る可能性がある」と分析する。(那須慎一)

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