第59回ビジネス広告大賞

大賞はパナソニック 5年ぶり8度目

 第59回ビジネス広告大賞(主催・フジサンケイビジネスアイ)の入賞作品が10月22日に行われた審査会にて決定した。最も優れた広告に贈られる「ビジネス広告大賞」に、パナソニックが選ばれた。同社の大賞受賞は5年ぶり8度目。審査対象は2019年10月1日から20年9月30日までに掲載された6部門の広告で、法政大学名誉教授の須藤春夫氏を審査委員長とする審査委員会の厳正な審査により決定した。

 制作の狙い

 いま、国際社会共通の目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」。

 SDGsが目指す、誰ひとり取り残さないよりよい世界は、パナソニックが創業以来目指してきた世界の姿でもあります。

 本広告では、名画「落穂拾い」をモチーフに、身に着ける人の作業負担を軽減する「パワードウェア」の効果を分かりやすく表現。SDGsの目標のひとつ「働きがいや経済成長の推進」に貢献し、年齢や性別に左右されず働ける社会づくりを支えていることを訴求しました。

 ≪選評≫

 □審査委員長・須藤春夫

 第59回ビジネス広告大賞はコロナ禍のもとでの実施となった。「3密」回避のために審査方法も変更を余儀なくされたが、ほぼ例年通りのエントリーを得て無事に審査を終えることができた。審査員はじめ関係者各位のご尽力の成果にほかならない。

 コロナ禍の影響は参加作品にも反映されていた。キャッチフレーズには「未来」「持続可能性」「環境」などコロナ後のビジネス界が目指す新たな価値がコンセプトに据えられ、そのもとで商品、サービスの必要性、利便性、革新性などを訴求する作品が目立った。

 選評は紙幅の関係で大賞と金賞受賞作品のみであるのをお許しいただきたい。

 ●大賞:パナソニック

 フランソワ・ミレーの有名な絵画「落穂拾い」に描かれた3人の農婦に商品「パワードウエア」を着装させた。コピーの「働く人の“ひろう”を、軽く。」は、拾う=疲労の掛け詞としてビジュアルを支えており、腰を深くかがめた農婦の重苦しい雰囲気が一挙に楽になる納得感を生みだすパワーがある。コロナ禍で介護現場の過酷な日々がテレビで映し出される中、アクチュアリティと創造力あふれる秀逸な作品である。

 ●見開き広告:エア・ウォーター

 メインコピーは「目に見ないもの、支えるもの。」。空気や水など地球資源を多様な分野で活用して、未来社会の誕生を陰で支えるインフラ企業の特徴を上手に表現。母親に抱かれた幼児の安心しきった表情は、不可視な「愛情」に支えられて成長する姿とコピーが見事に重なり効果的な意味の連関を生んでいる。

 ●1頁広告:東日本旅客鉄道

 次世代新幹線開発の広告。キャッチコピーは「どこまで行けるか。」。鉄道路線は必ず到着点があるのにそれを否定して別の含意を想起させる修辞法が上手。ビジュアルの中央を占める次世代新幹線の超流線型ノーズの写真は、速さ、快適さ、蓄積された技術の粋が「どこまで」達成されるのか期待感に繋がる。

 ●シリーズ広告:野村ホールディングス

 東京2020オリンピック・パラリンピックを応援する広告で4作品から構成。ゴルフ、バレー、柔道などの競技をするのは子どもたちだ。キャッチコピー「人類の戦いは、スポーツだけで。」と連動して、世界各地で紛争を起こしている大人たちの責任を問うている。子どもの未来を希求する社会性あるメッセージを巧みに表現した。

 ●雑報広告:藍澤證券

 「東京マネーストーリー」と題する27話の連作。サラリーマン生活が始まる23歳から77歳の喜寿を迎えるまで約半世紀にわたる人生のドラマがつづられる。限られた広告スペースを活用してライフステージごとに必要なマネーライフをアドバイスするスタイルは、読者の関心を持続させる手法に成功している。

 ●変型広告:オルガノ

 「水の価値の創出」を追求する企業姿勢がビジュアルに大きな一粒の水滴として配置され、長い広告文を押しのける形で表される。水滴には自社の水処理技術による新たな水の在り方がびっしりと記され、水滴の大きさがボディコピーを削り取ることで自信の強さを示している。変型広告を上手に活用した作品だ。

 ●記事下広告:旭化成

 コピー「問題 電池の夜明け。」とビジュアルの中心にあるリチウム実験装置の写真は、今日目にするリチウムイオン電池との違いを際立たせる。夢の電池の実用化に成功した自負が静かに表現され好感を呼ぶ。素材メーカーとして地道な研究の積み重ねや失敗を恐れぬ社風の訴求ともよく調和している。

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