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富士山登山鉄道「黒字営業可能」 山梨県の検討会、実現へ採算示す

 富士山の山梨側の麓と5合目を結ぶ富士山登山鉄道構想について、山梨県の検討会(会長・御手洗冨士夫経団連名誉会長)が開業初年度から黒字営業が可能と試算したことが1日、分かった。2日に国会内で開かれる理事会に基本構想素案を諮る。採算性を示すのは初めて。総事業費は1200億~1400億円と積算。技術面など多くの課題を指摘する。

 素案は、富士山の自然環境保全と適正利用を両立するため、自動車の利用から排ガスの出ない鉄道に切り替えることが有意義と指摘。県の有料道路「富士スバルライン」上に次世代型路面電車(LRT)を走らせる案を基に検討した。

 試算は大手建設コンサルタント会社に委託。乗客数や建設費の負担方法などの前提条件をクリアすれば当初から単年度黒字が続けられ、事業継続が可能としている。

 ただ、事業主体について県は当初から「県営鉄道にはしない。民間がやること」としており、具体的には踏み込んでいない。

 一方で素案は、急斜面や急カーブ、冬季運行の安全確保など技術的な課題を指摘。景観を守るため、車両は「架線レス」にしなければならず、地表集電方式か蓄電システムの導入が必要で、試算より事業費が増える可能性がある。

 富士山は世界文化遺産のため、国連教育科学文化機関(ユネスコ)との調整も大きな課題。富士山世界文化遺産学術委員会(委員長・遠山敦子元文部科学相)は10月、ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が定める「遺産影響評価」を行うべきだと求めており、クリアしなければならない。

 県有資産の価値向上の一環として、敷地を事業主体に貸した賃料を富士山の保全や地元の振興などに活用することが検討されている。

 富士山登山鉄道は長崎幸太郎知事が昨年の知事選で「検討」を公約に掲げ、検討会が実現可能性を議論してきた。理事会で素案を検討し、来年3月中には基本構想をまとめる方針だ。

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