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ドコモ値下げで収益圧迫、5G投資の足かせになるか

 携帯電話大手による携帯料金の値下げが傘下の格安ブランドにとどまらず、主力ブランドに波及することで、各社の収益力は大きく圧迫される。今後は超高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの本格普及を見据え、エリア整備のために膨大な投資がかさむため、これまでのような高収益を維持するのは難しくなりそうだ。

 「インパクトが大きいので正直やりたくない」。NTTドコモの主力ブランド値下げ報道を受け、対抗値下げを検討せざるを得なくなった競合大手の関係者は本音を漏らした。

 KDDIの高橋誠社長とソフトバンクの宮内謙社長は10~11月の決算会見で、ともに値下げの影響について「大きな収益減にならない」と見立てていた。格安ブランドでの対応で済み、利用者の8~9割が契約する主力ブランドの高価格帯プランを温存できそうだったからだ。

 だが、ドコモが仕掛けた主力ブランド値下げによって、状況は一転したと言っていい。ソフトバンクのスマートフォン契約者数は約2500万人。仮に主力ブランドが2000万人いて、一律に月1000円値下げしたとすると、単純計算で月200億円もの減収影響が生じることになる。

 携帯大手は金融や法人向けなど非通信分野が伸びて収益の多様化が進んでいるが、主力ブランドの値下げは他事業では補いきれないほどのインパクトをはらむ。政府から「もうけすぎ」とやり玉に挙げられる20%超の営業利益率が、先行きどうなるかも見通しにくくなってきた。

 携帯大手は5Gの基地局整備にドコモが2019年から5年間で1兆円、KDDIとソフトバンクは今後10年でそれぞれ2兆円超を投じる計画。政府の相次ぐ値下げ要請への対応は、日本の産業競争力の向上を狙いとした5G投資拡大の足かせにもなりそうだ。(万福博之)

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