講師のホンネ

ドラえもんが救う 雑学も無駄ではないのです

 「経済についてなら何でも良いので話してくれ」と、急な出張が入った友人講師から専門学校での登壇を頼まれました。教室で待っていると、入ってくるのが、まさかのアジア系の留学生。日本に来て数年の彼らに経済の話は難しすぎる。案の定、話についてこられない様子。準備してきた話を諦め、何に興味があるのかを考えました。すし、ケーキ、芸能…。あっ、アニメ、ドラえもん。

 「ドラえもんが青いのは、ネズミに耳をかじられて青ざめたからだって知っていましたか」

 「ジャイアンの妹、ジャイ子。本名を公表してないのは、同じ名前の子がイジメにあうとかわいそうだから」

 「ドラえもんのポケットから出てくる道具。半分以上、未来から借りてきているレンタル品だって」

 アニメ好きの留学生。明らかに興味を持っている様子。小ネタで心をつかんだ後は、どんな道具が欲しいかを聞き、現実にその道具があった場合の経済的効果と損失を話し合いました。

 もし「どこでもドア」があったら、いろいろな国に行けて、異国の文化にふれ、たくさんの人と話せて、話したら意外と気さくで国同士のケンカも無くなるかも。共通言語が必要になって、共通言語の会話学校が増えるかな。いつでも実家に帰れるから寂しくないしね。ガソリン代もかからない。代わりに交通、運送関係の会社はなくなる、道路も要らなくなるかな。

 もし「タケコプター」があったら、「ほんやくコンニャク」があったら、「暗記パン」があったら…。新たに生まれてくる産業と衰退する産業などを話し合い、大いに盛り上がりました。

 授業が終わった後、韓国人留学生から「こんな楽しく役に立つ授業を受けたのは日本に来て初めてです」と、うれしいひと言。講師なら、常日頃から何にでも興味を持ってみる。どんな話でもネタになるのが講師という職業です。面白い話だけではなく、辛い話、苦しい話、悲しい話までもネタにできる。大学講師の友人は、交通事故に遭ったときに「保険や病院についてのネタができる」と真っ先に思ったそうです。雑学も無駄ではないのです。ピンチを救ってくれたドラえもん、ありがとう。(石川和男)

【プロフィル】石川和男

 いしかわ・かずお 1968年、北海道生まれ。時間管理の専門家。平日は建設会社取締役総務部長として勤務し、その他の時間を税理士、大学講師、時間管理コンサルタント、セミナー講師と5つの仕事を掛け持ちする。著書は、『仕事が速い人は、これしかやらない』(PHP研究所)、『Outlook最強の仕事術 仕事が速い人は「5秒」で決める!』(SBクリエイティブ)など14冊。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus