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携帯大手トップ、NTTによる光回線の公正利用に懸念 ドコモ子会社化で

 総務省は3日、NTTによるNTTドコモの完全子会社化をめぐり、他の通信会社との競争環境の公平性を検証する有識者会議の初会合を開いた。現在、第5世代(5G)移動通信システムの基盤となる光ファイバー回線の設備はNTT東日本・西日本がほぼ独占しており、ソフトバンクの宮内謙社長は「設備の公正な利用が実現しなければ、日本のデジタル化が進まなくなる。日本の浮沈がかかっている」と警鐘を鳴らした。

 この日は宮内氏のほか、KDDI(au)の高橋誠社長、楽天モバイルの山田善久社長と携帯大手トップの面々が顔をそろえた。一方、NTTからは北村亮太執行役員が出席した。

 会合では携帯電話料金の値下げをめぐる動きが活発化する中で、高橋氏が「各社が切磋琢磨(せっさたくま)する上でも公正競争の確保が重要だ」と強調した。宮内氏もドコモがNTTの完全子会社になることで「ドコモの収益が減っても、グループ全体で利益が上がればよくなる。何でもできるようになる」と巨大NTTの“復活”に危機感を示した。

 ドコモの完全子会社化で、最大の論点になるのが光回線設備だ。電電公社時代の資産を引き継いだNTT東西は、携帯電話の基地局や通信センターをつなぐ光回線で75%のシェアを握り、携帯各社も依存する。5Gの普及で光回線設備の重要性が高まる中、ドコモとNTT東西の経営が一体化して、ドコモに有利な条件で回線が提供されることになれば、競争が大きくゆがむことを懸念する。

 NTT東西が特定事業者を優先的に扱ったり、本来の目的を超えて特定の事業者と情報を共有したりすることは法律で禁止されている。このため、北村氏は「法令順守は出資比率が66%でも100%でも変わらない」と主張。ドコモ完全子会社化は5Gや次世代の6Gでの国際競争力や米巨大ITに対抗することが狙いで、「公正競争に悪影響が生じることはない」と強調した。

 これに対して、高橋氏は「制度があっても、運用面で見えなくなる部分がある」と完全子会社化による新たな弊害を指摘。宮内氏は「構造分離が必要になるか議論すべきだ」と、NTT東西から光回線設備を切り離して別会社化し、公平性を担保する構想についても言及した。

 両者の意見の乖離(かいり)は大きいようにみえるが、ある有識者は「決して相いれないものではなく、両立できる制度整備を行いたい」と語った。今後も議論を継続して来年3月までに報告書を取りまとめる。(万福博之)

【用語解説】NTTドコモ子会社化

 NTTは9月、グループ横断で意思決定を迅速化するとして、ドコモの完全子会社化を発表。4兆円超と見込まれる国内最大の株式公開買い付け(TOB)に踏み切った。TOBは成立し、NTTのドコモ株の保有比率(議決権ベース)はTOB前の66.21%から91.46%に上昇した。ドコモは12月25日に上場廃止となり、29日にNTTの完全子会社となる見通し。

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