マネジメント新時代

「配車サービス専用EV」の商機到来か (1/2ページ)

 先般、筆者にとってはとても興味深い小さなニュースがあった。それは中国の配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)が、世界初となる配車サービス専用電気自動車(EV)「D1」を発表したことである。車両は同社と中国自動車大手、比亜迪(BYD)が共同開発し、製造は比亜迪が請け負うとのこと。また滴滴は2025年をめどに100万台規模の利用を目指すと公表している。今回は、このような配車サービス専用EVの誕生と将来動向について述べてみたい。(日本電動化研究所 代表取締役・和田憲一郎)

 Dアライアンス実現

 振り返ると、滴滴は18年4月に、31社とともに「洪流連盟(Dアライアンス)」を設立した。その目的は、新しいプラットフォームを構築し、30年までに1000万台規模の滴滴仕様による配車サービス専用EVを提供すると公表している。

 筆者は19年6月に北京の滴滴を訪問する機会があった。そのとき、Dアライアンスの進捗(しんちょく)状況を尋ねると、既にプラットフォーム設計は完了し、車両全体の開発に取り組んでいる最中とのことであった。どの企業と一緒に取り組んでいるか聞きたかったが、それについては答えられないとのこと。

 なお、滴滴は、登録ドライバーが急増するに伴い、18年頃から登録ドライバーによる強盗などの犯罪が発生し、非難を浴びた。このため、訪問時も配車サービスについて多くの改良を行っていると説明していた。例えば、登録ドライバーの審査強化や、運転開始時の顔認証義務付け、ユーザーのセキュリティー強化(乗客はワンボタンで警察に連絡可能など)である。

 今回発表された内容によれば、1000万人に上る登録ドライバーの需要や100億回の移動データに基づき、登録ドライバーと乗客の「マン・マシン・インタラクション」、登録ドライバーを監視するシステム、さらには音声や画像を活用するネットワークシステムなどが搭載されているとのこと。登録ドライバーへの監視システムのみならず、多くの機能が追加されている。

 なお、筆者の想定では、今回のD1は4人乗りの小型車であるが、ワゴン車タイプの配車サービス専用EVも続いて出現するのではと推測する。滴滴の仕様を参考にして、他のライドシェア企業でも採用の動きが進み、大きな潮流となるのではないか。

 日系部品にも可能性

 中国は、コロナ禍の中、4月以降はV字回復し、新車販売やライドシェアの活用も拡大している。海外ではライドシェアは低迷しているところも多いが、利便性を経験すると次第に回復するのではないか。

 そして、今回の発表では仕様が明らかになっていないが、配車サービスの機能充実とともに、従来品の耐久性向上が図られていると推測する。というのは、従来、自動車は販売開始から廃車までのライフの中で、走行時間が5%、停止時間が95%といわれてきた。

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