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「日本は規制が厳しいから自動運転で遅れている」はむしろ正反対である (1/4ページ)

 「日本は規制が厳しいから自動運転の実用化で遅れている」などと言われることがある。しかし自動車ジャーナリストの清水和夫氏は「現実は正反対だ。ホンダの新型レジェンドは『レベル3』の自動運転機能を備えており、日本が世界をリードしている証左だ」という--。

 高速道路の渋滞時には運転をクルマに任せられる

 待ちに待った自動運転車が、正式に認可された。国土交通省は11月11日、「レベル3」の自動運転装置を搭載したホンダの高級車「レジェンド」に対し、量産や販売に必要な型式認定を行ったと発表した。

 自動車のエンジニアにとっては長年の夢がかなった瞬間かもしれない。現在の市販車で実現されている衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱防止支援などは、あくまで運転の主体はドライバーにあり、システムが人間のうっかりミスをカバーするというもの(いわゆる「レベル2」)。だが今回認可されたホンダのシステムはそれより一歩進んだもので、特定の条件下とはいえ、システムが主体となって状況を監視し、自律的に運転を行う。その意味では、本格的な「自動運転」の第一歩を切り開くものといえる。

 複雑な混在交通の一般道路における自動運転の実現にはまだ時間がかかるが、高速道路であれば比較的早期に可能だとは考えられていた。今回形式認定を受けた新型レジェンドのシステムは、自動運転専用の高精度地図(ダイナミック・マップと呼ばれているもの)を搭載し、高速道路で渋滞したときの速度(時速30キロ未満で作動開始可能、時速50キロを超えると解除)に限定して自動運転を認可されたものである。

 筆者は内閣府が主催するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の自動走行システムプロジェクトの構成委員を2014年から務めてきた。そうした立場から見ると、自動運転車関連の報道の多くは期待過剰であったり、あるいは「日本は規制が厳しいから自動運転の実用化が進まない」というステレオタイプ的な主張であったりする(現実は正反対なのだが)。本稿ではファクトをしっかりと整理しながら、分かりやすく自動運転の現在地をリポートしたいと思う。

 社会問題の解決も担う自動運転の未来

 SIP自動走行システムプロジェクトの当初の目標は、乗用車の自動運転の実用化だった。しかし、2016年ごろからMaaS(編集部註:Mobility as a Service、情報通信技術を用いてさまざまな交通手段をシームレスに結びつけ、移動を「サービス」として提供/利用する概念)という考え方が話題となると、乗用車以外のモビリティ(移動/移動手段)の自動化への期待も高まってきた。

 例えば、地方のお年寄りや子供など、交通弱者といわれる人々の移動手段や、モノを運ぶトラックなどの自動化も期待できることから、安全性の向上や人材不足への対応といった、社会課題の解決を担う役割が望まれるようになった。また、コロナ禍で注目されたのは、食材などを運ぶデリバリーロボットだ。電動車椅子より小さいくらいのロボットが、無人でモノを運ぶ姿はいかにも未来的だ。

 センサーとコンピューターを駆使し、AIが運転するさまざまなモビリティは、これからの社会に不可欠な技術となるであろう。

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