評伝

渡文明氏 石油業界の再編に立ち会い、10兆円企業の礎築く

 渡文明(わたり・ふみあき)氏は長年にわたり石油業界に身を置き、かつて大小の企業が乱立していた石油業界の再編に幾度も立ち会った。既に第一線から退いて長いが、連結売上高約10兆円の巨大企業、ENEOSホールディングス(HD)の礎を築いた。

 入社した旧日本石油では長く人事部門などが社長を輩出していた中、渡氏は販売部門の出身。旧日石は平成11年に旧三菱石油と合併して石油業界国内首位の日石三菱が誕生するが、この合併劇に旧日石の副社長として取り組んだ。社長の座に就いたのは翌12年だ。

 給油所のブランドで今日につながる「ENEOS」を使い始めたのは、渡氏の社長在任時の13年だ。日石三菱から社名を変更した新日本石油の会長時代には旧新日鉱ホールディングスとの経営統合を推進し、22年にJXホールディングスが誕生。その流れをくむのがENEOSHDとなる。

 ENEOSHD幹部は渡氏について「さまざまな統合をこなし、総合エネルギー企業への成長にこの巨大企業を導いた」と評する。

 「交友関係が大変広く、慕われていた」(前出のENEOSHD幹部)というように、近年も首相在任中の安倍晋三氏や財界首脳らとゴルフを楽しむなど、最晩年まで活動的だった。また、少年時代を過ごした成城学園の理事長を務め、教育活動にも心を砕いた。(森田晶宏)

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