2021 成長への展望

三菱ケミカルHD社長・越智仁さん 基盤強化を継続しながら業績回復へ

 --昨年は激動の1年だった

 「もともと世界経済は2018年ごろから徐々に悪化しており、特に19年秋以降は米中貿易摩擦の影響で急速に落ち込み始めていた。新型コロナウイルスはその矢先に直撃した。当社も新型コロナで600億円程度の利益が吹き飛ぶとみていたが、上半期にほぼそれぐらいが飛んだ」

 --新型コロナの影響は

 「影響度合いは『人』に関わるリスクのある分野とそうでない分野でかなり違う。好調な分野の象徴は(人間同士が接することの少ない)巣ごもり関連で、家電も通信も好調を維持している。逆に飲食や娯楽などは厳しい。当社の素材では、ディスプレー関連やスマートフォン関連などが好調だ」

 --5カ年の中期経営計画が21年3月期で終了する

 「現行中計では(収益性の高い)機能商品で、最終年度に1000億~1200億円のコア営業利益を達成したいと思っていた。それに対し、現状は600億円ぐらい。コロナ禍の影響がない場合でも800億~850億円しかない。炭素繊維はもう少し利益を上げたかったし、自動車に使う高機能樹脂も伸びがいまひとつ。情報電子材料の利益率も低い」

 --4月1日付で、仏ロケット社のジョンマーク・ギルソン社長が新社長に就任する

 「従来の当社製品は日本が中心になって開発したもので、展開も多くがアジアに限られていた。だが海外の方が日本より進んでいる分野もある。海外とのコネクションを持つギルソン氏は、事業ポートフォリオの入れ替えに必要な技術や材料を持って来られる。今回の人事は成長のポテンシャルをどう作り出すかということに深く関連している」

 --4月に2カ年の新計画を始動させる

 「これまで研究開発などの基盤強化に取り組んできたが、それが終了するまであと1~2年かかる。新計画では基盤強化を継続しながら、コロナ禍で落ち込んだ業績の回復を図る。機能商品とヘルスケアの成長の布石を打つ期間でもある」

 --社長退任への思いは

 「私の一番の目標は、30年の目指す姿を描く『KAITEKI Vision30』の策定だった。昨年2月にその発表が実現し、本当は1年前に辞めたかったが、21年3月期が中計最終年度ということもあって3月まで続投することになった。異常事態が続くが、やらなければならないことは明確になっているし、ギルソン氏は実現のための方法論も持っている」

【プロフィル】越智仁 おち・ひとし 京大大学院化学工学研究科修了。1977年三菱化成工業(現三菱ケミカル)入社。2007年三菱化学(同)執行役員などを経て、15年4月から現職。愛媛県出身。

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