2021 成長への展望

森ビル社長・辻慎吾さん 環境と健康、コロナ経てますます重視

 --新型コロナウイルス禍と共生する時代。都市づくりに変化は

 「長い時間と膨大なエネルギーをかけて進めてきた『虎ノ門・麻布台プロジェクト』(東京都港区)で掲げたコンセプト『グリーン&ウェルネス』の通り、環境と心身の健康はコロナ禍を経てますます重要視されている世界的なテーマだ。この方針を強化していく。虎ノ門・麻布台の計画は30年かけたプロジェクトだが、その間バブル経済の崩壊や阪神大震災、東日本大震災、SARS(重症急性呼吸器症候群)、リーマン・ショックなどを経験してきた。こうした経済の波や災害を全部乗り越えてきているので、今回のコロナ禍だけで右往左往すべきではないと思っている。都市づくりは長期にわたる仕事なので、30年後、50年後の未来を見据える視点が重要だ」

 --多くの企業がオフィスの在り方を再考している

 「変わらないものと変えていくべきことを見極めることが重要だ。アイデアを出し合うにしても、対面で会話をしないと伝わらないことや生まれない発想が必ずある。われわれも大事な会議や、図面を囲んでのディスカッションでは大きな部屋や会議室を使っている。人と人との距離を取ろうとすると、今までのスペースでは手狭になる。働く人たちは出社はしても会議はリモートで参加したり、テレビ会議をするときは同じフロアに人が大勢いて周りの音が気になり、個室を求めたりする。オフィス開発を含む都市づくりを通じて、人が集まって偶然の出会いや発見を生み出す場と仕掛けを提供していきたい」

 --政府は2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロの目標を打ち出した。環境保全対策は

 「虎ノ門・麻布台では、オフィスから住宅、店舗、美術館を含むいろいろな用途が複合している街で使う全ての電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指している。テナント企業などは個別に電力会社と契約しなくても、当社のビルに入居すれば再エネを利用できる仕組みを整える。緑地面積は約2.4ヘクタール確保する。真夏の気温は緑の多い六本木ヒルズがアスファルトの六本木交差点よりも5~10度ほど低いというデータがある。地球温暖化対策に緑化は有効な手立てだ」

 --新年はどんな年に

 「『虎ノ門・麻布台プロジェクト』と『虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト』(同区)が23年にいよいよ現実の都市として動き出す。今年1年間で非常に多くのことを詳細かつ具体的に詰め切らなければならない。この1年はこれまでになく濃密な時間になるだろう」

【プロフィル】辻慎吾 つじ・しんご 1985年横浜国立大大学院修了。同年森ビル入社。六本木ヒルズなど東京都心の大規模都市再開発事業を担当。取締役、常務取締役、副社長を経て、2011年6月から現職。広島県出身。

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