2021 成長への展望

東レ社長・日覚昭広さん 中計目標、コロナ禍でより現実的に

 --昨年を振り返って

 「米中貿易摩擦の影響で業績が下振れしていた矢先に新型コロナウイルスが流行し、当社の4~6月期決算もガタガタになってしまった。自動車や航空機向け素材の需要減は仕方がない」

 --比較的早期の経済回復を予想している

 「新型コロナは感染力はあっても毒性は弱いと分かっていたので、5月に中期経営計画を発表したときに2022年ごろには回復すると言った。(影響が大きい)航空機向けも23年度ぐらいには戻るだろう。直近は感染が再拡大しているが、対処法が分かってきたので心配はいらないと思っている。重要なのはワクチンより検査だ。これは徹底的にやる必要がある」

 --今年度から中期経営計画をスタートさせた

 「最終年度の22年度に、連結売上高2兆6000億円、(本業のもうけを示す)同事業利益1800億円を目指している。もともと計画には米中摩擦の影響を織り込んでいたので、目標数字はかなり低めに設定されていた。コロナ禍で(難易度が上がり)より現実的な目標になった。十分に達成できる」

 --炭素繊維は航空機向けの需要減に直面している

 「代わりに風力発電設備向けが伸びており、水素タンク向けなども有望だ。今のうちに新分野を開拓できれば、24、25年度には事業利益を500億円程度に増やせるとみている。ただ、自動車向けは素材としての価格が高すぎ、期待ほど普及していない」

 --リチウムイオン電池向けセパレーター(絶縁材)は、民生用中心にかじを切ろうとしている

 「電気自動車(EV)用は、量が増えても価格が大きく下がるのでもうからなくなりつつある。EV用は量を追うより、高い安全性を求められる(高機能の)製品に絞った方がいい。スマートフォンなどの民生用は機能が高いほど収益が期待できる」

 --日本的経営の良さを追求し、米国流のジョブ型雇用制度は採用しないと明言している

 「日本はもともと売り手と買い手の双方が満足し、社会貢献もできるのがよい商売と考える『三方良し』でやってきたし、人材も内部で育てるのが基本だ。以前の米国は金融資本主義に陥っていたが、リーマン・ショックでおかしいと気づき、行き過ぎた株主重視などを改め始めている。それなのに、多くの日本企業は何も考えずにただ米国の後を追っているだけだ」

 --今年の抱負は

 「コロナ対策をしっかりやりながら確実に収益を伸ばす。(業績)数字は21年度から戻していく」

【プロフィル】日覚昭広 にっかく・あきひろ 東大大学院工学系研究科修了。1973年東レ入社。2002年取締役、07年副社長などを経て、10年6月から現職。兵庫県出身。

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