2021 成長への展望

富士フイルムHD会長・古森重隆さん 米ゼロックスと離れさらなる成長へ

 --新型コロナウイルス禍の事業環境をどう見ているか

 「昨年前半はかなり需要ががた減りした。一般消費者の市場は影響が大きかった。産業用途はそこまでではなく、徐々に回復してコロナ前に戻りつつある。今年はもっと良くなると思うが、コロナ再流行もあり、今年いっぱいでコロナ前の状況まで戻るかどうかだ」

 --コロナ禍でも好調な事業は

 「ヘルスケアはそんなに需要が落ちていない。診断機器やバイオ医薬品のCDMO(開発・製造受託)が伸びている。一般消費者向けでも、インスタントカメラの『チェキ』は新製品を出したら売れた。客足を戻すには魅力的な商品を出すことが重要だ。決算をみると、他のメーカーよりマイナスは少ない」

 --新たな中期経営計画の発表が遅れている

 「昨年はコロナの感染拡大への対応が必要だったことから、新中期計画の準備期間と位置づけ、(計画の実施は)今年から始めることにした。新中期計画でも、いい製品を出して顧客に買ってもらうという当たり前のことを粛々とやっていくが、いろいろな経験を積むことで固定費が下がるなど企業の体質は強くなっている」

 --完全子会社化した富士ゼロックスの社名が4月1日から「富士フイルムビジネスイノベーション」に変わる

 「このタイミングで米ゼロックスとの間で販売地域などを規定した『技術契約』が切れる。これまではアジア・オセアニアに限定されていたが、新たに欧米やその他の地域で販売できるようになるので、販売を伸ばしていきたい。富士フイルムも世界的なブランドであり、さらに成長していく大きな転機になるだろう」

 --子会社の「富士フイルム富山化学」が開発したコロナ治療薬「アビガン」が注目を集めた

 「世界各国で買ってもらえたし、会社の業績にもある程度寄与している。皆さんの安心感につながっており、メーカーとして社会問題の解決の役に立てて良かった。メーカー冥利(みょうり)に尽きる」

 --菅義偉政権の評価は

 「菅首相は大変しっかりされた実務家で、問題解決に能力を発揮されるだろう。地球温暖化対策などで国際社会のリーダーシップを取っていくと思う」

 --自身の後継者についての考えは

 「しかるべきタイミングでと考えている。ずっといつまでもやるつもりはないが、コロナが来たから辞めるということはない」

【プロフィル】古森重隆 こもり・しげたか 東大経卒。1963年富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)入社。2000年社長に就任し、12年から現職。長崎県出身。

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