令和3年 経済展望

(4)金融 低金利、事業領域広げ対応

 金融機関にとっての令和3年は、低金利への対応策として収益基盤の裾野の拡大を迫られる年になりそうだ。新型コロナウイルス危機を受けた日本銀行による金融緩和はさらなる長期化が予想され、メガバンク首脳らは非金融領域を含めた新事業への取り組みに意欲的だ。また菅義偉政権が掲げる脱炭素化や地方の金融機能強化といった、新たに重要度が高まった課題への対応も求められる。

 異業種と連携

 「収益源を多様化するため、金融と非金融領域を結び付けていく」

 みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長はこう強調する。

 銀行や生命保険会社など金融業界は顧客からお金を集め、それを企業や個人に融資したり、運用したりして収益を上げてきた。

 しかし日銀の金融緩和による低金利は当面続くとみられ、こうしたビジネスモデルの収益力回復は見込めない。

 みずほFGは昨年6月にソフトバンクと提携し、スマートフォンを核とした証券などの金融サービスに乗り出した。三菱UFJFGも昨年2月、東南アジアの配車サービス最大手のグラブと資本提携するなど、異業種と連携する動きが今年も活発になりそうだ。

 三井住友FGの太田純社長はキャッシュレス化関連の需要の取り込みに加え、業務のデジタル化などを念頭に「引き続きコスト削減を続ける」と指摘する。

 投資で脱炭素貢献

 一方、菅首相が掲げる2050年までの脱炭素化は金融業界にも変化をもたらしそうだ。

 金融業界は再生可能エネルギーへの投資や、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力の建設に投資しないことなどで、間接的に脱炭素化に貢献できる。日本生命保険の清水博社長は、企業の環境保全の取り組みなどを投資判断の基準とするESG(環境・社会・企業統治)投融資について、「機関投資家として気候変動への取り組みの主軸に置く」と説明する。

 大和証券グループ本社の中田誠司社長も「(脱炭素化への投資などに)資金を必要としている人と、資金を提供できる人を結び付ける」と前向きだ。

 また「(地銀は)数が多すぎる」と言及したこともある菅首相には、単に再編を促すだけでなく、金融機能の強化で地方を活性化させたいとの思いも透ける。東京海上ホールディングスの小宮暁社長は「中小企業の支援をベースに、地域経済を活性化させたい」と強調する。

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