2021 成長への展望

長谷工コーポレーション社長・池上一夫さん タワマン強化で「勇往邁進」

 --コロナ禍への対応は

 「2020年4月の社長就任と同時に緊急事態宣言が発令されて対応に追われた。テレワークに切り替えられる環境にある業態はすぐに実行したが、建設作業所は現場で作業するしかなく、かといって工事も止められない。不公平感を持たれないように苦慮していたが、『住宅にまつわる仕事は、医療機関や食品を扱う店舗などと同様に生活に不可欠であり、事業は継続する』との号令を全社員に発信した。使命感が醸成されたようで、社員も家族に話し『人々の生活に不可欠な仕事をしている』と理解された」

 --業績への影響は

 「20年度の上半期は、サービス関連事業の販売や大規模修繕、中古仲介に影響が出た。特に大規模修繕は、入居者が生活しながらの工事となるので『中断してほしい』と要請され、6~7割がストップした。一方で本体のマンション建設工事は予想以上に進捗(しんちょく)したため連結経常利益は想定通り300億円を確保。通期でも700億円を目指す」

 --コロナ禍でも落ち込まなかった要因は

 「生産性向上の取り組み効果が出てきた。約9年前から私が旗振り役となって進めてきたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は新規設計案件への100%導入体制を確立し、施工段階でも導入が進んでいる。コンピューター上で3次元の建築モデルを作成するため、図面間での不整合がなくなり、各メーカーへの発注ロスも減った。図面の確認や検査にタブレット端末を活用するなどデジタル技術の積極導入による作業の効率化・省力化効果も図れた」

 --求められるマンションも変わってきた

 「在宅勤務の浸透などから郊外物件が好調だ。『テレワーク用個室が欲しい』『郊外や駅から遠くてもいいから安くて広い部屋に住みたい』との声が聞かれ、住まいを選ぶ基準に変化が出てきた。新しい商品企画のチャンスであり、ある意味でコロナは追い風だ」

 --課題は

 「タワーマンションのシェアを上げていく。実績を積み技術力やコスト競争力がついてきたので20年4月に専門部署を設置し、外に対し『攻めていく』と宣言した。またBIMを進捗させ、抽出したデータを直接工場の生産ラインに送ったり、現場の検査に活用したりして業務効率化と品質向上を図る。今年のキーワードはどんな困難にも負けず前に突き進むという『勇往邁進(まいしん)』。コロナ禍で厳しい時代だからこそ、立ち止まることなく着実に前に進んでいくとの思いを込めた」

【プロフィル】池上一夫 いけがみ・かずお 早大理工卒。1980年長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。2011年取締役執行役員。取締役専務執行役員などを経て20年4月から現職。神奈川県出身。

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