2021 成長への展望

NTT東日本社長・井上福造さん モノの通信を「ローカル5G」で攻略

 --NTTによるNTTドコモの完全子会社化でグループが新たな体制になる

 「当社は全然関係ない。うちの会社の特徴は地域密着で仕事をしていることで、グループ企業にかかわらず、さまざまな企業の地域マーケットに対するフロント的な役割になればいいと思う。地域のICT(情報通信技術)総合商社になりたい」

 --完全子会社化に伴い、NTT東日本・西日本がほぼ独占する光ファイバー回線設備の公正利用に懸念が生じると、通信事業者が反発しているが

 「これまで基本的にはドコモにも他の通信会社にも対等というか、公平に仕事をしてきたつもりだ。(経営が一体化して)トータル戦略で公正競争に影響が生じるという疑念は論理的にはあり得るかもしれないが、そこはルールや規制で守っていけばいい。NTT東はより多くのマーケットに公平にアプローチして、全体の売り上げを伸ばしていきたいという考え方だ」

 --農業に始まり、eスポーツ、芸術・文化と分野別のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進会社を相次ぎ設立している

 「通信事業の間口を広げているつもりだ。例えば、農業法人で大規模なビニールハウスをつくったのは、中であらゆるモノがネットにつながるIoTをやりたいからだ。誰かがハウスをつくってその中のLAN(ローカルエリアネットワーク)の部分をもらうのが従来の商売だが、農業のデジタル化はまだ揺籃(ようらん)期であり、誰かがやるのを待つより、自分でやって中に通信をつくるのが手っ取り早い。今年は1次産業をさらに深掘りし、水産業、林業、酪農と全部制覇したい」

 --新型コロナウイルス禍はビジネスチャンスか

 「コロナ禍で生活や仕事のスタイルがガラッと変わり、世の中のものが全てオンラインになったので、多くのビジネスがわれわれのソリューションの範疇(はんちゅう)に入った。これまでの通信は人がメインだったが、モノの通信はまだまだブルーオーシャンだ。第5世代(5G)移動通信システムを建物や敷地内限定で使える『ローカル5G』などを活用し、IoT向けのLANのマーケットをしっかり取っていきたい」

 --固定電話の音声収入が落ち込み続ける中、2023年度の増収への転換を目標にしてきたが、手応えは

 「ネットワーク構築やサポートサービスが順調に伸びており、23年くらいに増収反転すると考えていた。農業などの新事業はまだこれからだが、光回線もコロナで息を吹き返した感がある。コロナ禍でビジネスチャンスも広がっており、増収の前倒しも夢ではない」

【プロフィル】井上福造 いのうえ・ふくぞう 東大法卒。1980年日本電信電話公社(現NTT)入社。NTT東日本取締役、常務、副社長などを経て、2018年6月から現職。兵庫県出身。

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