2021 成長への展望

野村総合研究所会長兼社長・此本臣吾さん 企業のDXやAI活用積極化に貢献

 --新型コロナウイルス禍の経済情勢は

 「コロナの流行は収束の兆しが見られず、影響は長引くだろう。法人企業統計に注目しているのだが、われわれのビジネスに関わるソフト投資をみると2020年7~9月期は前年同期比2.0%減とマイナス圏内だが、4~6月期の12.8%減から急速に回復した。ソフトを除く設備投資は4~6月期の9.9%減から7~9月期は11.2%減とマイナス幅は拡大しており、ソフト投資のほうがましだ。とはいえ20年全体ではシュリンクし一休みするとみている。延期した投資が再開されるのは1、2年先になるのではないだろうか。それでも企業はオンライン化やデジタル化への投資を先送りすることはできないだろう」

 --コロナ収束後は

 「コロナ禍は二極化と行動変容をもたらした。移動自粛という行動変容は非対面・非接触を促進。人の移動がグローバル規模で目詰まりしたことで運輸業や飲食・観光業などはもろに被害を受けた。一方で電子商取引(EC)に特需が発生、支える物流業や倉庫業も活況になった」

 --テレワークが普及した

 「社員は通勤時間が激減しストレスがなくなった。家庭で過ごす時間は大きく増え、生産性が低下したといわれるが、社員のワークライフバランスが改善しモチベーションが上がった。雇用主にもメリットは大きい。テレワークという新たな働き方は労使双方にメリットなので元に戻さない方がいいし戻せないだろう」

 --業績への影響は

 「21年3月期は当初想定通りで売上高は増加し、利益は同水準を維持する見通しだ。4~6月期に先送りされた投資案件が徐々に出てきた。特に企業のビジネスモデル変革を支援するデジタルトランスフォーメーション(DX)を中心に需要は高水準だ。また行動変容によりオンライン化、EC化の流れが進む。D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)も増え、それを支えるプラットフォーマーも急速に台頭。企業は業務プロセスもオンライン化で効率化を進めている」

 --追い風が吹く

 「こうしたオンライン化やECの進展をとらえるのが企業の投資テーマになるので2、3年先の需要動向は見えてくる。その先もDXの流れは10~20年続くだろう。企業のAI(人工知能)活用もスタート台に立った段階で、本当のAI革命はこれから始まる。現状では想像できないところにもAIが組み込まれる時代が来るので、それに貢献していく」

【プロフィル】此本臣吾 このもと・しんご 東京大大学院修士修了。1985年野村総合研究所入社。2004年執行役員、常務執行役員、専務執行役員を経て16年社長、19年6月から現職。60歳。東京都出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus