高論卓説

CESオンライン開催のはがゆさ 深みなくリアルイベントの大切さ痛感 (1/2ページ)

 テクノロジー業界にとって年明け早々の一大イベントは米ネバダ州ラスベガスで開催されるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)だ。世界的な宣伝効果を狙って、このイベントに照準を合わせて重要な発表を行う企業は数多い。昨年、ソニーがコンセプトカー「VISION(ビジョン)-S」、トヨタ自動車がコネクテッドシティ「Woven City(ウーブン・シティ)」を発表したのもCESだった。世界中のテックジャイアントが集結し交流を深め、そこを多くの記者が取材する巨大イベントだ。

 そんなCESも、新型コロナウイルス感染拡大の影響でまったく様変わりした。1月11~14日に開催されたが会場は、ラスベガスではなく「インターネットの中」。つまり完全オンラインで実施された。全てのプレゼンテーションがZoom(ズーム)を通じて行われ、記者は興味のあるイベントやブースを訪れて取材をする、というスタイルだった。

 宣伝効果が低いことを見越してか、出展した会社数は前年の半分以下の約2000社。参加登録者数も大幅に減少し、「いつの間にか始まっていつの間にか終わった」という印象だ。

 もちろん、完全オンライン開催になったことで「取材しやすくなった」という理屈も成り立つ。確かに海外出張をするとなれば、エアライン代、ホテル代を含めてかなり高額。そのため例年、各メディアは限られた記者だけを選抜して出張させていた。しかし、今回は多くの記者が「のぞき見感覚」で気軽に参加できるようになった。いうまでもないことだが、だだっ広い会場を小走りしながら移動する必要もないため、肉体的な疲労も圧倒的に軽減された。

 が、これはただの理屈であって現実ではない。多くの出展者や記者が改めて感じたのは「リアルイベントの重要さ」だろう。確かに、Zoomを使って発表内容を視聴できるし、発表資料を読むことだってできる。しかし、企業の担当者と1対1で取材することが難しいため、深みのある取材ができない。

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