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近江牛の革製品で魅力PR 滋賀の牧場と工房、名刺入れやトートバッグ

 高級和牛の一つに数えられる「近江牛」の革製品作りに、滋賀県東部の牧場と工房が力を入れている。「地元が誇る銘柄牛の価値をさらに高めるため、食肉だけではない魅力を余すところなく届けたい」。製品と理念のPRが目下の課題だ。

 製作を担当する革製品工房は、近江八幡市の「Cogocoro(コゴコロ)」。職人でもある経営者の田中秀樹さん(47)は「近江牛のなめし革は、他の国産牛革と比べて油分が多い。厚みがあるのに柔らかく、色も入りやすい」と語る。琵琶湖をイメージした青に染め上げた革の名刺入れや、持ち手やポケットに革をあしらった帆布トートバッグが、性別を問わず人気という。

 自前の近江牛牧場を持ち、精肉店やレストランも手掛ける岡喜商店(竜王町)の岡山和弘さん(47)は数年前、語り継がれる近江牛の歴史を再考した。

 近江肉牛協会などによると、江戸時代に近江国の彦根藩は、陣太鼓に牛皮を使うため、徳川幕府から牛の解体を認められていたという。さらに、地元の牛肉を幕府や諸大名へ贈っていた古文書も残っている。

 「原点回帰で皮に光を」。岡山さんは旧知の田中さんと協力し、近江牛の革製品開発に着手。昨年8月、岡喜商店が展開する滋賀県内の店舗で、本格的に販売を始めた。コゴコロのホームページなどからも、購入できるようにした。

 ただ、新型コロナウイルスの感染が、昨年から広がる。滋賀県東部には、戦国武将の織田信長や豊臣秀吉一族にまつわる観光名所も多いが、訪日外国人の姿は消えた。日本人観光客も大きく減っている。革製品をアピールする上で、逆風は吹き続ける。

 岡山さんは、近江牛の肉を米国の精肉店に卸すことが決まった際、革製品を先に販売したいとの申し出を受けたことがあった。「牛の肉をおいしく食べて皮も残さず使う考え方が、海外で重要視されているように感じた」。田中さんとともに、製品開発の思いも発信していくつもりだ。

【用語解説】近江牛 滋賀県や関係団体によれば、柔らかな肉質が特長。「豊かな自然環境と水に恵まれた県内で最も長く飼育された黒毛和種」として、特許庁から2007年に商標登録を受けた。20年2月時点で、近江牛として出荷される前提で飼育されていたのは1万4000頭以上。三大和牛に数えられることもあり、松阪牛、神戸牛、米沢牛などとともに市場評価が高い。

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