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GM自動運転追い風 傘下企業の「クルーズ」にマイクロソフトなどが20億ドル出資

 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が過半数株式を保有する自動運転車(AV)スタートアップ企業「クルーズ」は19日、米IT大手マイクロソフトや複数の機関投資家から20億ドル(約2100億円)規模の出資を受けると発表した。

 このニュースを受け、19日の米株式市場でGM株は急伸し、前営業日比9.8%高の54.84ドルと上場来高値で取引を終了した。マイクロソフトは1.8%高だった。

 アジュール使用可能

 GMとマイクロソフトが主導するクルーズの最新の資金調達ラウンドには、ホンダや他の機関投資家も参加する。発表によれば、新たな資金確保によりクルーズの企業評価額は推定300億ドルに達する。2019年にTロウ・プライス・アソシエーツなどから出資を受けた時点では190億ドルだった。

 アルファベットやアップルなどのIT企業と異なり、マイクロソフトはAV自体には取り組んでおらず、ソフトウエアを自動車メーカーに販売することを目指している。マイクロソフトは技術面でも提携するとしており、ソフトウエア強豪との提携はクルーズにとって、AV商用化でしのぎを削る同業ウェイモとの競争上の強みとなる。ウェイモは親会社アルファベットのソフト関連資源が利用できる。

 今年、サンフランシスコでの有料自動運転サービス開始に向けて準備を進めているクルーズは、AVネットワークの管理面でマイクロソフトのクラウドサービス「Azure(アジュール)」を使用できるようになる。クルーズは19年までにロボタクシー(自動運転タクシー)サービスを開始するという非常に積極的な目標を先送りせざるを得なかったものの、ここ数カ月はAV開発の取り組みを加速している。

 アジュールは中央のサーバーファームにデータを送信しなくてもセンサーからデータを収集・分析するエッジコンピューティングを武器に、多くの顧客獲得に尽力している。自動運転技術は一連のセンサーと人工知能(AI)を用いたアルゴリズムに依存しているため、クルーズはマイクロソフトの重要な収益源に成長する可能性がある。

 「やるべきこと山積」

 米調査会社ガイドハウス・インサイツの主席リサーチアナリスト、サム・アブエルサミド氏は、資金不足で挫折する自動運転のスタートアップ企業がある中で、今回の資金調達ラウンドはクルーズにとって大きな追い風になると説明。昨年、自動運転トラック開発のスタートアップ企業スタースキー・ロボティクスが資金不足で事業を閉じ、自動運転技術の開発を手掛けていたゾークスは新規資金調達ラウンドを確保できず米通販大手アマゾン・コムに買収された。

 アブエルサミド氏も、クルーズが商用車両をうまく管理する上でマイクロソフトの強固なクラウドプラットフォームが不可欠な要素になると話している。

 クルーズのカイル・ヴォグト社長兼最高技術責任者(CTO)は19日のツイッターへの投稿で、「AV企業の勝ち組になりそうな一握りの最有力候補が優れた人的資源の大半と金融資本の大部分を引き付けている。何百万という顧客を持たない企業の評価額が300億ドルになり得るゆえんだ。当社はこのビジョンを目指して、驚くべき進歩を遂げたが、まだやるべきことは山のようにある」と強調した。(ブルームバーグ David Welch)

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