2021 成長への展望

日本プロジェクト産業協議会会長・進藤孝生さん 複合化した多目的インフラ整備重要

 --協議会の役割は

 「このプロジェクトを実現させれば、国が良くなる、国土が強くなるという社会的な公益認識があって各業界から集まってアイデアを出し合っている。実現できればわれわれに果実はあるが、いつ見返りがあるかは分からない。業界団体のマーケティング活動としては効率が悪すぎる」

 --大規模インフラは民主党政権時代に否定された

 「公共事業と社会保障を二項対立にするのが間違いだ。公的施設、公的教育、社会保障。この3つは国の骨格をなすインフラだ。特に少子高齢化が進む地方に定住してもらうためには、それぞれの地域をつなぐインフラが必要になる。また、海外企業を誘致するためには、産業立地の競争力がないと、働き手も来てくれない。そういう意味で、インフラプロジェクトは極めて大事になる」

 --新型コロナウイルスの影響は

 「コロナ禍は地域の往来やサプライチェーンなど分断を進めた。それが所得の差にも影響している。一方で、リモートワークで場所の差がなくなり、大都市一極集中でなくてもいいのではということが認識された面もあった。一言でいうと、国土強靭(きょうじん)化やそれを支えるインフラが改めて必要だと考えさせられた。インフラといっても、防災、環境、産業振興、まちづくりといった目的が複合化した多目的なものが求められるようになっている」

 --政府の打ち出した15兆円の国土強靭化をどうみるか

 「非常に高く評価している。老朽インフラも増えており、激甚化する災害の事前防災のために、計画的に修繕することが必要になる。しかし、行政側の財源や人材は限られているので、民間の資金や技術を投入しないといけない。建設業界は人材が高齢化しているのでOBを活用するなどして、劣化の点検をしたり、高規格堤防を作ったりしていくことになるだろう」

 --昨年12月に赤羽一嘉国土交通相に、第2青函トンネルなど推進すべきプロジェクトを提言した

 「実現可能性は、そんなに高いわけではない。ただ、将来の技術を最大限織り込んでいるので、技術面での実現性はかなり高いだろう。しかし、トンネルの料金や利用量などケース設定をして、経済性をもう少し詰める必要がある。それから波及効果にも注目すべきだ。第2青函トンネルで物流の中心であるトラック輸送が可能になるので、北海道を食料基地と考えると、牛乳が都心に来るなど効果は全国に広がる」

【プロフィル】進藤孝生

 しんどう・こうせい 一橋大経卒、米ハーバード大経営大院修了。1973年新日本製鉄(現日本製鉄)入社。取締役、副社長、社長を経て、2019年4月から日本製鉄会長。20年6月から現職。秋田県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus