金融

確定申告スタート 電子申告で「密」回避、支援サービス続々

 所得税の確定申告が16日に始まった。フリーランスなどの個人事業主や副業している人などが主な対象だが、新型コロナウイルス流行で税務署の混雑が予想され、税務署はオンラインによる電子申告を呼び掛けている。電子申告をサポートするサービスがフィンテックベンチャーによって続々登場。このサービスを活用すれば、混雑による「密」を回避できるうえ、税制上のメリットも得られる。

スマホアプリで

 クラウド会計のfreee(フリー)は、申告書類の作成から申告まで一貫してできるスマートフォン用アプリを開発した。

 アプリを立ち上げて質問事項に答え、さらに銀行口座やクレジットカードのオンライン明細を取り込む。領収書はスマホで撮影するだけで、自動で勘定項目に仕訳し、帳簿に反映される。申告に必要なマイナンバーカードもスマホにかざすだけ。パソコンでの申告に必要なカード読み取り機はいらない。佐々木大輔最高経営責任者(CEO)は「いつでもどこでも簡単に申告書が作れる」と話す。

 コロナ禍で在宅勤務が増え、なくなった通勤時間を副業にあてるケースも増えているが、初めての確定申告に不安を抱える人も多い。freeeでは確定申告がわかるサイトを15日に開設。確定申告に必要な手順などがロールプレイングゲーム仕立てで学べる。動画サイト「ユーチューブ」を使った確定申告セミナーも3月6日に開く。

家計簿ソフトと連携

 マネーフォワードも家計簿ソフト「マネーフォワードME」と確定申告ソフトとのデータ連携を開始。こちらもスマホで申告ができるようにした。家計簿ソフトで個人としての家計簿と副業の経費をあわせて記録。確定申告ソフトとデータ連携すると、自動的に仕訳される。

 このほかソフト開発の弥生(東京都千代田区)も個人事業主向けに電子申告対応のクラウド会計ソフトを販売。スマホが苦手な人にはこんなサービスも。士業マッチングサービスのミツモア(同)は、税理士への確定申告の依頼がスマホでできるサービスを手がけている。

「持続化給付金」」も申告を

 電子申告をもっと利用してもらおうと、政府は今回の確定申告から税制面での優遇措置を導入した。会計ソフトなどで電子帳簿保存を行い、オンラインによる電子申告すれば、青色申告特別控除が65万円となり、従来の紙による申告よりも10万円の節税ができる。

 自営業者や個人事業主にとって気を付けたいのは、新型コロナウイルス対策として支給された国の持続化給付金。雑所得として申告する必要がある。営業自粛に協力した飲食業に自治体から支給された協力金も雑所得となる。

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