テクノロジー

米寒波、半導体供給網へ深手 アナリスト「危機はまだ始まったばかり」と警告

 記録的な寒波に伴う米テキサス州全域の停電で、オースティン周辺に集積する半導体工場が操業停止となった。既に顧客ニーズに対応できていなかったサプライチェーン(供給網)にとってさらなる打撃となる。

 車載用半導体大手、オランダのNXPセミコンダクターズは17日、オースティン周辺にある2工場の生産を休止したと明らかにした。半導体で世界2位の韓国サムスン電子も16日にオースティンの施設で稼働を停止したと発表。車載用半導体大手のドイツのインフィニオンテクノロジーズも、停電でオースティン工場の操業を休止したと説明した。

 サムスンは停電の通知を事前に受け取り、機器や生産中のウエハーの保護で適切な措置を講じられたと説明。NXPは全面的な生産再開時に影響を精査できるだろうとし、テキサス以外の全ての製造施設はフル稼働のままだとした。

 レイモンド・ジェームズのアナリストのクリス・カソ氏は、サムスンにとってオースティン工場は比較的古い施設のため、クアルコムといった主要企業の半導体を生産している公算は小さいが、NXPの停電の影響は業界の力学にとってより大きな影響をもたらす可能性があると指摘。「通常なら影響は軽微だろうが、業界全体の大幅な不足やとりわけNXPが自動車向け市場で主要な存在であることを考えると、こうした停電は半導体不足を悪化させるだけだ」とリポートに記した。

 寒波による経済への影響も拡大している。米国の原油生産は40%近く減少し、国内有数のシェール生産地でフラッキング(水圧破砕技術を利用した掘削)活動が停止した。小麦先物相場は寒波による出荷混乱を受けて急騰。新型コロナウイルスワクチンの出荷にも遅れが出ているほか、米アマゾン・コムはイリノイ州からテキサス州までの地域で施設を閉鎖した。

 テキサス州は17日、州をまたぐ天然ガスの流れを規制する措置を発表した。大寒波を受けた異例の措置だが、米憲法の州際通商条項に違反しているとの指摘も出ている。

 サンキー・リサーチの石油アナリスト、ポール・サンキー氏はリポートで「現在のエネルギー危機は多くの人が認識するよりはるかに大きなものだ。これは世界的な危機だ。米史上最大の停電であり、この危機はまだ始まったばかり」と警告した。(ブルームバーグ Ian King、Catherine Traywick)

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