サービス

商業地、軒並み下落 ネット通販好調で工業地上昇

 令和3年の公示地価は新型コロナウイルス禍に伴う消費の落ち込みを反映し、大都市の商業地で下落が鮮明となった。国内外で旅行控えが続く中、訪日客の宿泊、飲食などの消費活動に支えられた大阪市中心部の繁華街は特に下落幅が大きかった。新型コロナの影響は雇用情勢や賃金環境の悪化を招き、住宅地の上昇鈍化や下落にもつながった。他方、在宅時間の長期化で好調なインターネット販売を背景に大型物流施設の開発が相次ぎ、工業地は用途別で唯一プラスを維持した。

 「テレワークで会社帰りに一杯飲みに行く人や歓送迎会を開く人がいなくなり、接待で持っていく手土産需要もなくなった。コロナの悪影響はかなり大きい」

 東京・銀座(中央区)の商店街関係者は新型コロナで苦境が続く商店主らの声をこう代弁する。

 1平方メートル当たり5360万円と地点別で15年続けて全国最高価格だった「山野楽器銀座本店」(同区)でもマイナス7・1%と、9年ぶりの下落となった。新型コロナの影響でビジネス客や訪日客の需要は消失し、新規店舗を検討する事業者などは出店意欲をそがれ、地価の下落につながった。

 会食自粛や観光客減少の影響は全国の繁華街を直撃した。東京・銀座(中央区)や歌舞伎町(新宿区)のほか、横浜中華街(横浜市)、名古屋市の錦、広島市の流川など飲食店や物販店が立ち並ぶ各地の商業地は10%超の下落となった。

 特に、コロナ禍以前は訪日客でにぎわっていた大阪・ミナミの戎橋(えびすばし)周辺はマイナス28・0%(前年は23・8%増)と、下落幅は全国の商業地で最大だった。

 一方、巣ごもり需要で好調なインターネット販売を背景に、工業地のうち大型物流施設用地では上昇が目立った。東京外郭環状道路(外環道)の沿道地域にある千葉県松戸市の地点ではプラス10・8%、首都高速道路沿いの横浜市の地点はプラス11・1%と二桁台の上昇。コロナ禍の影響は全国各地に及んだが、用途や地域によって明暗が分かれる結果となった。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus