金融

東証の障害再発防止策 海外マネー呼び込みへの一歩になるか

 来年4月に市場再編を控える東京証券取引所にとって、システム障害の再発防止や、障害が起きた場合の復旧策の策定は国際競争力強化に向けた第一歩といえる。東証は海外からの投資マネーを呼び込むための重要インフラであり、日本経済の活性化に欠かせないからだ。投資家が安心して取引できる市場にするため、再発防止策にいかに実効性を持たせるかが、今後の焦点となる。

 東証は来年4月、現行の4市場を廃止し、新たに「プライム」などの3市場を開設する。プライムはグローバルに展開する大企業向けで、海外の機関投資家の投資対象となる。政策保有株などを除く流通株式時価総額が100億円以上となることや、高水準のガバナンス(企業統治)など厳しい条件が要求される。

 東証は東証株価指数(TOPIX)も改め、採用銘柄を段階的に絞り込む。従来は東証1部に上場すれば、TOPIX連動型の投資信託を通じて自動的に買われる面があったが、市場区分とTOPIXを切り離し、投資対象の選別が進むようにする。

 これらの取り組みは、政府の「国際金融都市」構想の確立につながる。野村資本市場研究所によると、東証の時価総額は昨年11月末時点で687兆円に対し、米ニューヨーク証券取引所は2240兆円とその差は大きい。

 「日本取引所グループ(JPX)では今般の障害を受けて、レジリエンス(回復力)の向上を経営課題の柱としている」

 東証社長を兼務するJPXの清田瞭(あきら)最高経営責任者(CEO)は25日の再発防止協議会でこう述べ、市場の信頼性や安全性の向上を誓った。今後も市場関係者の意見を聞いたり、訓練を繰り返すなどして再発防止策の実効性を高める考えだ。(米沢文)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus