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パナソニックの“7000億円買収” 市場から厳しく評価される2つの理由 (2/3ページ)

 ■「ソフト」をやり続けたソニーとは時価総額で大差

 しかし大手証券アナリストからはこんな声があがる。

 「いまだに売り上げの4割が家電を占めるパナソニックがBtoB(企業向けビジネス)をできるのか。むしろ知見のあるBtoC(個人向けビジネス)を深掘りしたほうが復活を遂げやすいのではないか」

 こうした見方の背景にあるのがソニーの復活だ。ソニーは今や時価総額ではパナソニックの4倍超となる14兆円と、大きく差をつけている。たが、1990年代にはハード事業に行き詰まり、パナソニックと同じく事業転換に悩んでいた。当時は、韓国・サムスン電子やLG、中国勢が台頭。日本の電機業界はハード主体のモノづくりから、ソフト・サービス路線への転換が模索されていた。

 1988年、ソニーはCBSレコード(現:ソニー・ミュージックエンタテインメント=SME)を買収。さらに89年にはコロンビア・ピクチャーズ・インダストリーズ(現:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント=SPE)を買収した。

 買収後、ソニーはCBSから乗り込んできた米幹部に「食い物」にされた。幹部らはプライベートジェット機や豪邸を買いあさり、ウォルト・ディズニーに対抗して「ソニーランド」の建設案まで持ち込むなど、やりたい放題だった。95年3月期には約3000億円の赤字に転落。狼藉を働いていた米幹部を追い出し、健全な経営状態に戻ったのは90年代後半になってからだ。

 ■「CBS買収」といった夢も社内抗争で潰えてしまった

 その後、ソニーの「ソフト・サービス」は大きく花開く。2002年には映画『スパイダーマン』が興行収入8億ドルの大ヒットとなり、その後も映画やゲームが立て続けにあたった。それまで同社を牽引していた「ウォークマン」や「トリニトロン・テレビ」などのハード事業も、「ソフト・サービス」事業を補完する位置づけに変わっていった。その象徴がCMOSセンサーだ。

 ソニーは世界で初めてリチウムイオン電池や有機ELの開発を手掛けるなど世界の先端を走っていた。だが、これらのデバイスがコモディティー化すると、さっさと撤退。ハード事業を「勝てる領域」に絞り込んだ。そこで選んだのが高精細な画像を作成するのに必要なCMOSセンサーだ。いまやiPhoneなどにも用いられ、応用の領域は映像機器やゲームのコンテンツ制作など、ソニーの手掛ける多くの事業にも広がっている。

 一方、パナソニックも91年に米映画大手のMCAを7800億円で買収。ハリウッドへの進出を試みた。当初、MCAの事業は良好だったが、ソフト化路線を進めた谷井昭雄社長が不祥事で失脚すると、「ソフト・サービス」路線から身を引いてしまう。MCAには英ヴァージン・レコードの買収や、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」の建設、さらには米3大地上波放送局のCBSの買収案件もあったが、すべて却下してしまった。結局、95年には株式の8割をカナダのシーグラムに売却。メディア企業となる夢は潰えてしまう。

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