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食品ロス対策は横浜の「ランドマーク」で コロナ禍の野菜・果物廃棄を回避

 コロナ禍による飲食店の営業自粛によって、生産した野菜や果物が本来の出荷先を失っているという横浜市内の農家の声を受け、横浜ランドマークタワーに入居する多くの飲食店が一丸となって対策に名乗りをあげた。タワー内の飲食店29店舗が、市内の農家から入荷した野菜や果物を、それぞれのメニューに取り入れて販売したのだ。国連の提唱によって世界的に関心の高まるSDGs(持続可能な開発目標)や食品ロスの問題についても、同タワーが文字通り、対策の「ランドマーク」となって注目を集めている。

 この取り組みは「春の横浜ベジフルフェア」と題して、3月12日~4月2日の約3週間にわたって行われた。同タワーの飲食店69店舗のうち、4割を超す29店舗が参加。カレーやサンドイッチ、パンケーキやジェラートなど、各店舗が横浜市内産の野菜や果物を使ったメニューを提供し、盛況のうちに閉幕した。

 農家は喜びの声

 そのうちの1店、フルーツパーラーの「果実園 リーベル」は、市内産イチゴを使用した「HAMAいちごパンケーキ」を1日10食限定で提供。店長の下山利幸さん(37)は「食品ロス削減に貢献でき、農家も元気になる。新鮮な果物にお客さまも喜んでおり、機会があれば今後も積極的に取り組みたい」と話した。

 レストラン「海鮮食飲市場 マルカミ食堂」は市内産の小松菜を使い、「小松菜と豚肉のオイスターソース炒め」を提供した。

 「飲食店の時短営業・休業やイベント中止など、コロナ禍によって、心を込めて育てた野菜や果物の売り先に困っているという農家の声を数多く聞いた」

 同タワーの広報担当者は、取り組みのきっかけをこう話す。その上で「食品ロスの問題にも直結する話。地域農家を応援したかった」と力を込めた。

 JA横浜の協力により、市内の小松菜農家2軒、トマト農家2軒、イチゴ農家6軒の計10軒が参加した。イチゴ農家の1軒は「直売やもぎ取りでの販売も客数が減少し、困っていた。このフェアで多くの消費者に味わってもらえたことは非常にありがたい」と喜びの声をあげた。

 世界的な課題

 生産された飲食物が、食べられるのに食べられず大量に廃棄される「食品ロス」の問題が世界的に注目を集めている。国連はSDGsによって持続可能な地球環境の実現を提唱しており、食品ロスの問題も解決課題の一つとして対策を進めている。

 ただ、コロナ禍が食品ロスに拍車をかけている実態も表面化している。飲食店の営業自粛により、野菜や果物が出荷先を失って廃棄されるといったケースが先進国を中心に頻発しているというのだ。

 そうした中、横浜市内でも、出荷先変更などの対応を余儀なくされる農家の困惑が目立った。市農業振興課の朝倉友佳課長は「消費地が近い横浜市内では、出荷先の経路が多く、各農家が工夫して廃棄を避けられるよう、努力と苦労を重ねている」とした上で、同タワーが出荷先の一つとして名乗りを上げたことに期待感を示す。

 朝倉課長は「こうした地産地消の取り組みは、食育にもつながる。子供のうちから食べ物を大切にするという意識付けができれば、食品ロス削減につながるだろう」と意義を強調した。同タワーの広報担当者は「豊かな未来のために、今後も地域と連携した取り組みを進めていきたい」と意気込んでいる。

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