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日立、ベイン連合に日立金属売却へ 事業転換、高収益企業に (1/2ページ)

 日立製作所はここ数年、IT(情報技術)などの有望分野に経営資源を集中投入する一方、本業との関連が薄い子会社や事業を次々と手放してきた。既に日立化成を昭和電工に売却するなど大半の子会社は整理済みで、日立金属売却はその総仕上げとなる。電機大手は赤字体質に苦しんできたが、日立製作所は積極的な事業の入れ替えやM&A(企業の合併・買収)で高収益体質に転換しようとしている。

 金属は、化成などとともに日立製作所子会社の「御三家」と呼ばれてきた。特殊鋼や磁石、電線などを手掛け、ニッチな分野ながら世界トップシェアを持つ製品もある。

 しかし直近の業績は厳しい。2021年3月期の連結最終損益は460億円の赤字(前期は376億円の赤字)と、2期連続で過去最大となる見通し。昨年10月には、早期退職の実施などでグループ社員の約1割にあたる約3200人の削減を打ち出している。

 しかも長年にわたる品質検査不正が発覚。昨年5月に当時の社長が引責辞任する異常事態となっていた。

 日立製作所は検討を重ねた結果、本体と金属の相乗効果は薄いと判断。昨年後半から売却に向けた入札の手続きを進めてきた。売却を急ぐ背景には、親会社と子会社がそろって上場する「親子上場」に対し、子会社の少数株主の利益を損ないやすいとの批判が高まっていることもある。

 同社はリーマン・ショック後の09年3月期に8000億円近い巨額赤字を計上したのを機に、子会社との関係を見直してきた。約51%を出資する日立建機株の一部売却を除けば、グループ再編で検討中の案件はほぼなくなることになる。

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