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目の水晶体、透明化の仕組み解明 東大チーム

 目のレンズの役割を果たす「水晶体」が透明になる仕組みを、東京大の水島昇教授らが解明した。脂質を分解する酵素が、水晶体の細胞内の小器官を分解していた。細胞の小器官を分解する新たな機構で、細胞の働きのさらなる理解や、さまざまな病気の発症機構の解明につながる可能性がある。15日に英科学誌ネイチャーの電子版で発表した。

 水晶体の細胞には当初、遺伝情報を収めた核やタンパク質の貯蔵・分泌に関わる小胞体、エネルギーを生産するミトコンドリアなど多様な小器官が存在するため不透明だ。やがて、これらが消滅して透明になることが知られていたが、その仕組みは不明だった。

 研究チームはマウスやゼブラフィッシュを使い、水晶体が透明になる過程で細胞内で働いている約60種の遺伝子を分析。水晶体が出来上がる過程で透明化するには脂質を分解する酵素が必要で、これが核などの小器官を包んでいる脂質を含む膜をばらばらにすることで破壊していることを突き止めた。

 この酵素は、水晶体以外にも脳や心臓、骨格筋、脊髄、精巣、脂肪などの細胞に存在すると知られているが、働きは詳しく分かっていない。水島教授は「細胞の代謝機能の理解のほか、この酵素が存在する組織や器官で起きる病気の解明に役立つかもしれない」と話している。

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